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みぃ

Author:みぃ
ブログ公開:2012/4/17

この作品に出会えて
本当に良かった。
これからもずっと変わらず
愛してます。(主に副長を♡)

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ふたりきり


【土方 歳三/夫婦】ちづるside




 …………雨?

 たんたんと 何か弾けるような音で目が覚めた。
 まだ開けきらない瞼の隙間から
 この世で一番愛おしい人の顔が見える。
 無駄の無い輪郭に 繊細な睫毛 形の良い唇 
 そして流れる艶髪。
 まだ夢の中かと思う程麗しく。
 
 眠りの泉へと落ちて行く時のままに
 あなたが在って 安堵の溜め息が漏れる。 
 人以上の力を使ったあなたが
 いつかその命を全うする日が必ず来るから
 私は目覚めが怖い。

 なら 目の前で消えて行かれるのがいいのか。
 そう自問すれば それもまた耐えられない事。
 死は その者だけのもので
 共に死しても 魂が添い遂げられるか分からない。
 それでもひとり残されるのは 千本の針を飲むよりつらい。  
 
 嗚咽が漏れそうな喉を押し殺す。
 こんな風に枕を濡らしている事を知られてはならない。
 これ以上の心残りを背負わせたくない。
 
 もっと ずっと ずっと 傍にいたい。

 いつもよりも我慢ならなくて 大声で泣きたくなった。
 御勝手場の奥でなら 雨の音で消されるだろう。
 そっと布団から抜け出して……

「何処に行く? ちづる」 

 答える前からその腕は 私を捕らえた。  
 声を出せば 涙を含んでいるのに気付かれてしまう。

「厠か?」 

 背中からの問い掛けに 黙ったまま顔を伏せる。

「何処にも行くんじゃねえよ…… 寒いだろうが」

 そう言って 尚も抱きしめて来る。
 ひとり寝に慣れておかなければと思うのに
 何度頼んでも許して貰えない。
『俺は寒がりだからな お前が一緒じゃないと眠れねえよ』
 体温が低くて 温めて貰っているのは私の方。
 強がってみても どうしたって手放せない癖に。
  
 包んでいた腕が緩んで 後ろへと向きを変えられると
 抑えきれずに胸の中へ縋り付き あなたの寝間着を濡らす。

「ったく ひとりで泣くなっつってんだろ…… 」

 最初から何もかもお見通しなのだ。  
 小さく上下する肩を余す所なくすっぽり抱き包まれて
 痛いくらいの苦しさに安堵した。
 
 聞こえて来るは優しい鼓動と雨だれの音。
 どうか この甘美な拘束のまま朝まで。


 ふたりの夜明けはまだ遠い。




― 了 ―



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