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みぃ

Author:みぃ
ブログ公開:2012/4/17

この作品に出会えて
本当に良かった。
これからもずっと変わらず
愛してます。(主に副長を♡)

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集真藍 [中編]


【土方 歳三/屯所】



「あっ土方さん そんなに切っちゃ 足りなくなりますよ!」
「そっ そうかぁ? こんなモンだろ?」
「だって ひらひらが長い方が かわいいですもんっ」
「なんでかわいくしなきゃならねぇんだよっ」
 二人きりの座敷で会話が弾む。
 最初ちづるは土方が手伝うと言った時 斎藤がそう言った事より驚いた。
 正直他の隊士が全員いなくなってしまい 土方と二人きりは気まずかった。
 だが自分から言った手前なのか 土方は思いの外ちゃんと取り組んでくれた。
 お世辞にも器用とは言えなかったが どうにかその面影は留めた。
「おしっ! 出来た!!」
 満足そうに声をあげ 土方は自分が作ったてれてれ法師を持ってみる。
「あ?」
 何故かそれは真っ直ぐ伸びずに まるで項垂れたように横になってしまう。
「あれ…… 寝てますね」
 ちづるが見たまんま口にすると 土方にじろりと睨まれる。
「いえっ それはそれで味がありますよ!」
 慌てて言い直すも 作った本人とあまりに違いのある自信のなさそうなそれに
 可笑しさを覚え 思わず笑うところを我慢してちづるは変な顔になった。
「ふんっ 笑いたきゃ笑えってんだ」
 土方は"味のあるてれてれ法師"を放って 次に取り掛かった。
「(あ もっと作ってくれるんだ…… )」
 ちづるは これで怒って行ってしまうだろうと思ったので
 新しい手ぬぐいの切れ端に手を付けた土方を見て 嬉しい気持ちになった。
「あの いいんですか? こんな事してて お仕事は」
「ああ? 俺が邪魔か?」
 ちづるを見もしないで その頭を丸くする事に悪戦苦闘する土方。
「いいえ!! でも 土方さんお忙しいのに」
「まぁ たまにはいいだろ?お前とこうする機会もあんまねえしな
 うまい具合に みんな追っ払ったし…… 」
「え?」
「なぁ!何でこれ丸くなんねえんだ!?」
「っああ 足りないんですよ詰め物が…… 」
 何か凄い事を聞いたような気がしたちづるだが 多分自分の聞き違いだろうと
 またてれてれ法師作りに向かった。


「これだけあったら いいだろうっ!!」
 最後のひとつが出来あがると 土方はそう叫んで畳に身を投げ出した。
「ひぃ ふぅ みぃ よぅ いつ…… すごい! こんなにたくさんっ 
 ありがとうございましたっ土方さん」
 ほとんどちづるが作ったのだが その気持ちが嬉しくて礼を言うと 
「俺には やっぱりこんな細けぇのは 向いてねぇわ!」
 思いがけず“鬼副長”の笑顔が見れて ちづるは見惚れてしまう。
「あぁ…… えっと…… 早速軒先に吊るしてみよう かな」
 ちづるはどぎまぎして 出来たてれてれ法師を両腕の中に抱えて縁側に出た。
 ぽろぽろとそこから落ちたのを土方は拾い上げて
「お前じゃ とても届かねぇだろうよ」
 と言いながら 腕の中に戻す。
「昼飯食った後にでも 新八か原田あたりにやってもらえ」
「あ はい お願いしてみます」


「あん?」
 ちづるがてれてれ法師を座敷にまた置きに戻ると 
 後ろの縁側で土方が何かに気付いたような声をあげた。
「どうしたんですか? 土方さん」
「あれ ほら あそこ見てみろっ」
「え? どこ…… 」
 土方が指差す方に目を凝らすと ちづるの目にもそれが映る。
「あれって…… 」
「まだ咲いてんのあったんだな」
 それはまだしとしとと雨が降り続く中 庭の隅に仲間に置いて行かれた一輪。
「あじさい…… ですか!?」
 盛りの季節を疾うに過ぎていると言うのに その花はひっそりとそこにあった。
「見に行かねえか?」
「え? あ はいっ」
 ちづるはあじさいの所まで行くのに 傘を探しに土間へ行こうとして
「傘なら ここにあるぞ」
 と土方に止められた。「そうですか」と振り向くとその手には一本だけの傘。
「でけぇヤツだから 二人でも入ったろ?」
 そう言って雪駄を履いて 傘を広げちづるを待った。
 もじもじとなかなか縁側から降りて来ない彼女に
「何やってんだ 早く来いっ」
 と声を掛ける。ちづるは一時思案して自分の雪駄に足を通した。
 小幅で土方に近づきようやく同じ傘に入る。
 その花まで幾歩でもないのに ちづるにはとっても長いものに思えた。


「本当に あじさいですね」
 ちづるは中腰になって覗き込む。それは小さいながらも 
 ちゃんと手毬のように丸く 可愛らしい紫色の花を咲かせていた。
「はみ出しモンだな こいつ」
「そんな事言っちゃ 可哀相ですよ」
「可哀相?」
「綺麗なんですからいつ咲いたっていいじゃないですか それに…… 」
「それに?」
 不思議そうに聞いてくる土方の方に ちづるは向いて
「はみ出し者と言うなら このあじさい 新選組の皆さんと同じじゃないですか」
「言ってくれるじゃねえか なるほどな」
 聞いて苦く笑う土方。
「知ってますか? あじさいの花ってこの丸いのを言うんじゃないんですよ」
「あ? そうなのか!?」
「花の部分は この真中でぽつぽつしているのがそうで 花弁に見えるのは萼なんです」
「ほぉ」
 感心したように言って土方がその葉を摘み取ると
「あ! それ口とかに持っていっちゃ駄目ですよっ 毒がありますからっ」
 言われて 持っている指を急いで広げる土方。
 ちづるはそんな彼を見て ふふふと笑って続ける。
「あじさいって名前も本当は"藍色が集まったもの"を意味する
 あづさい(集真藍)が訛ったものと言われているんですよ」
「お前 よく知ってんなぁ」
 ちづるは少し言葉に詰まってから
「父様が 教えてくれたんです…… 」
 俯くちづるの様子に 土方の顔が複雑なものになる。
「すまねえな…… なかなか探してやれなくて」
 申し訳なさそうに土方が言うと「いいえ!」と返って来る。
「こんなにお世話になってて なのに私何も恩返し出来なくて」
「んな事ねえよ みんなお前に助けられてる」
「え?」
 滅多に見れない二度目の"鬼の笑顔"を見たちづるは顔を朱に染めて
「ひっ 土方さんは 桜の方が好きですよね!?」
 慌てて話題を変えた。
「そうだな あの散り具合の 潔いところがな でも…… 」
 何を言うのかと土方の方を見て待つちづる。
「俺らと同じだってんなら このあじさいも悪かねえ」
 そう聞いてなんだか嬉しくなってくるちづる。
「私も好きです だってこのあじさい…… 」
 目の前の花を見た視線を 隣の土方に移して
「土方さんの瞳と 同じ色だから」
 言われた土方のその紫の瞳が見開かれるのを見て ちづるはやっと我に帰り
「(え? 今 私 とんでもない事言わなかった!?)」
 口を両手で押さえるも後の祭り。耳まで真っ赤に染め居たたまれなくなる。
「べっべっべっ別に ふっ深い意味は無いですからっ!!」
「おいっ」
 傘から抜け出し雨の中に飛び出すちづる。瞬間――
「(え?)」
 ずるりとした足元の感覚を覚え 曇天の空からの雫に顔が打たれる。
「ちづる!?」
 差し伸べられた手はちづるの腕を掴むも 諸共ぬかるんだ地面めがけて倒れ込んだ。





― 中編 了 ―


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