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みぃ

Author:みぃ
ブログ公開:2012/4/17

この作品に出会えて
本当に良かった。
これからもずっと変わらず
愛してます。(主に副長を♡)

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睦言


【沖田 総司/夫婦】



 こんなに安らかで 幸せそうな君を見つけて 
 僕はまだ自分が夢の中にいるのかと思ったんだ。
 恐る恐る伸ばした手が空を掴んだら 僕は泣いてしまうかもしれない。
 でもこの手に感じた温もりは 確かに君のものだった。
 うっすらと紅を差した 柔らかな頬に指をなぞらせる。
 ふっくらとした輪郭を確かめ 次いで桜色の唇へと移す。
 微かに開かれた間から 命の息吹が繰り返されている。
 
 生きている。
 今日も僕らは。

 それは奇跡。
 
 いつか目覚めても 真っ暗闇のまま出口が見つからなくて
 君の名を叫ぶ日が来るだろう。
 返答が無くて僕は思い知る
 "もっと 君の傍にいたかった" と。
 その日は数ヵ月後か それとも明日か。
 
 神様はいつ僕に罰を与えに来るのかな。
 確かに僕は 他人(ひと)に優しくしてこなかった。
 だって近藤さんさえいてくれたらそれで良かったから。
 あの人の愛だけあれば生きていけると思っていた。 
 なのに君は現れた。
 出会いには何の意味も無いと気にも留めなかった。
 寧ろ新選組の秘密を知り 隊を脅かす存在の君は近藤さんの敵。
 女? 子供? そんなのは関係無い。
 邪魔なものはさっさと斬り殺して無しにしてしまえばいい。
 
 今の僕は過去に戻れるなら 当時のそんな自分を斬りに行くだろう。
 君に手を掛けようと思う自分を。
 
 いつからなの?
 僕の中に君がいた。
 それまでそこは近藤さんの場所だったのに。
 広い背中を見ていた視線が 抱きしめたら壊れそうな肩を追うようになった。
 そして君も僕を見る。 真っ直ぐに強く 優しく。
 『ずっと…… 沖田さんの傍にいたい』
 そう君から発せられた 未来を感じさせる言葉に僕はすがった。
 君の幸せを願うより 自分の弱さが勝ってしまった瞬間。
 なにもしてあげられないのに 温かい柔らかな感触を欲しがるなんて。
 そんな僕を 君は許してくれるの?
 『そんな総司さんだって分かってて ここにいますから』
 そう言って君は笑うんだ。僕のどんな我儘にも動じずに。

「ん…… そう じさん?」
「ごめん 起しちゃった?」
 なんて嘘。本当は君が起きればいいのにって思ってた。
「夜明けはまだ遠いよ も少し寝てなよ」
 そう言いながらも 君に触れる事を僕は止めたりしない。
 随分長くなった黒橡色の髪に手を差し入れる。
「傍に…… いてくれますか?」
「……どうかな?」
「いじわる…… 」
 そんな拗ねた顔も 今じゃすっかり慣れっこだよ。
 もっと違う君が見たくて 髪に埋めた手を引き寄せた。
「あっ」
 とろんとしていた瞼が見開かれて 瞳が零れ落ちそう。
 うん いいね。こんな君も。……でももう少し変化が欲しいかな?
「ちづる…… 」
「そっ 総司さん!?」
 その唇に吐息を感じるまで顔を近づける。
 あ~あ そんなにぎゅっと目を瞑っちゃって。
 どっかで見たような眉間の皺も 君のなら可愛く見えるよ。
 でも…… 何を期待しているのかな?
「どうしたの? ちづる」
 僕の声に彼女が怖々目を開ける。僕の顔は近付けたままだから
 鼻先で目が合って ちづるは耳まで朱に染まる。
「どっどうもしません!」
 あれ 怒っちゃった。彼女はぐるりと僕に背を向けてしまう。
 それも面白いけど また口を聞いてくれなくなるのは嫌だな。
「ごめんね ちづるちゃん」
 懐かしい呼び方で謝ってみる。そう婚姻するまで僕はこう君を呼んでいた。
 その途端 肩をすくめて 眉根を下げた顔だけこっちに向けて来る。
「そ 総司さん ずるいっ」
 ぷっ。 それは許してくれたって事でいいのかな?
 君をからかってばかりの僕だけど でもいいよね。
 だってさ ……いつも僕の方が負けているんだもの。
 きっと僕の方が 君を好きに決まってる。

「ようやく夜に眠れるようになったのに 離れてたらつまんないよ?」
 最近は結構昼も起きていられる様になった。
 本当にこの地の水と 澄んだ空気の所為なのかもしれない。
「ちづる」
 相変らず僕に背を向けている彼女に声を掛ける。
 褥の上に広がっている髪が ゆっくりと向きを変えた。
「おいで」
 僕が促すと 伏せ目がちな目をしたちづるが寄り添ってくる。
 細くなってしまった腕を その身体に巻きつけると彼女は言う。
「総司さんの音が 聞こえる…… 」
 僕の音? ああ鼓動の事か。
「段々早くなってく」
 ふん。それは仕方がないよ。だって君を抱きしめているんだからさ。
 もちろんそんな種明かしはしてあげないけどね。
「総司さん」
「なに?」
「今日 いいお天気だったら散歩に行きませんか?」
「散歩かぁ」
「だめ…… ですか?」
 なんでこうゆう時 すぐ『いいよ』って言ってあげられないんだろ 僕。
「別にいいけど 条件がひとつ」
「な 何ですか? 条件って」
 あれれ もう警戒してる。
 そんな怯えた顔しちゃって。ちょっといじめすぎたかな。
「それは…… 」
 ちづるに絡ませている腕をもっと締めて 自分の中に取り込む。
 このまま溶けてひとつになればいい。そしたら死ぬ時も一緒。
 まだ朱に染まっている耳元で僕は囁く。
 あんまり近づき過ぎて 唇が彼女の耳朶に触れた。
「んっ」
 ちづるの口から声が漏れる。
 それは彼女自身も予想しなかったのか 急いで口元を手で隠す。
「ちゃんと 聞いてた?」
 彼女の顔を覗き込む。熱を帯び潤んだ瞳は僕の事しか映さない。
「き 聞いてました…… 」
 ちづるは慌てて僕から視線を逸らす。
「してくれる?」
 外れたその視界にまた戻るように 彼女の顔の前に僕は首を傾げる。
「そ それって 最初から最後まで…… ですか?」
 なに そのちょっと無理みたいな言い方。
「夫婦なんだからいいでしょ?」
 なんだかんだ言って 君は僕の願いを聞いてくれるはず。
「わ 分かりました…… やります」
 ほらね。
「いい子だね ちづる」
 そうだな。いい子にはご褒美あげなきゃね。
「目が覚めるまで抱きしめているのと 一回の口付けと…… どっちがいい?」
「っ!? ~~~~~~~~~~」
 悩んでる悩んでる。楽しいな。
「……どっちも」
「え? 欲張りさんだなぁ ちづるちゃんは」
 そう言うって分かってたけどね。ま 約束してくれたんだから仕方ないか。
「どっちを先がいい?」
「そんな事っ 聞かないでくださいっ」
 ちづるは頬を真っ赤にして 僕の胸に顔を伏せ身を縮める。
 せっかく両方やってあげるのに。意外と素直じゃないんだから。
「そ 総司さんの好きな方で…… 」
 え? 僕の好きな方って……
「なら…… 」
 僕は腕を緩めて彼女の身体を離して 褥の上に仰向けに寝かせた。
 恥ずかしそうに見えながらも僕を待ってるちづる。
 でも気付かない振りをしてあげる。今日はもう意地悪はしないから。
 僕の下でちづるは瞳を閉じた。それを合図に彼女へ近づいて行く。
 柔らかな感触は充分過ぎる程知っているのに 
 君がさっき聞いた 僕の鼓動がもっと早くなってくる。
「ふっ…… 」
 意地悪しないって思ったばかりなのに 僕を感じている声がもっと聞きたくて
 ちょっと歯止めがきかなくなってくる。
「ちづ…… る?」
「んんっ あ んっ」

 あれ? 確か口づけは一回だったっけ?
 もうそんな事はどうでもいいや。
 ちづるの吐息をまとって 僕はまた生きている事を実感出来るんだから。
 それにしてもまずいな。止まらなくなってきちゃう。
 でも君のせい。うっすら開けたそんな悩ましい目を僕に見せるから。
 目を合わせたままの口づけって興奮しちゃうよ。
「はぁ むぅ んん」
 ふ~ん ここも感じちゃうんだ。へぇ 新しい発見。
 いつの間にこんな淫らな動きができるようになったの?
 僕を動揺させるなんて ちょっと生意気だよ。お仕置きしなきゃ…… ね。
 血を与えてくれたこの首筋が 今も甘い香りを放ってくる。
 当時と同じように舌を這わせ 軽く歯を立て甘噛みすると 
 ちづるは声をあげて身をよじった。
 「あっ やぁ」
 そうそう それでいい。可愛いよ ちづる。 
 従順な君も 勝気な君も どの道僕は好きだけど。
 本当はね 気が引けているんだ。この病を君にうつしてしまうと思うと。
 ひとり隔離されるべき所なのに 君に傍にいて欲しいし唇まで求めてしまう。
 だって知ってしまったから。それは身体が震えるほど甘美なものだって。
「そ 総司さ…… ハァ」
 ん そろそろ限界なのかな? 
「ご褒美あげたんだから 約束守ってね?」
「ん ハァァ……あの 本当に ずっと手を繋いで歩くんですか?」
「そう言ったでしょ?」
「~~~~~~~」
 そんなに恥ずかしい事かな? だって―――

 いつ出来なくなるか分からないのに。

 君が泣いてしまうから そんな事口にはしないけど。
 そして口づけの次は 目覚めるまで抱きしめるんだよね。
 君は気付いてないか。 これってどっちも僕がしたい事だって。
 ねえ…… 今度は君の鼓動を聞きながら眠らせて。


「総司さん…… 」
「ん?」
「……呼んでみただけ」
「なにそれ」
 ふふふと君が笑って 細めた目のまま瞳を閉じた。
「ちづる ……眠っちゃった?」
 ちづるのくぅくぅという寝息に釣られて こっちまで眠気が差してきて
 母にそうする幼い子供のように 僕はちづるの胸に顔を埋めた。
 とくん とくん…… 。
 当てた耳に 瑞々しく響いてくる 命の音。
 生きている 確かに僕らは。
 僕が君にしてあげられる事は何もないけど せめて
 君の傍にいる時に僕は逝くから。
 君が悔やむような事はさせないから。
 
 次に目を覚ましたら 覚ます事が出来たなら
 眠ってしまって伝えられなかった君に真っ先に言うね…… 。

 
 ちづる? ちづる 愛してるよ 
 
 ずっと ずっと 僕は呼び続ける……  君の名を
  




― 了 ―



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