カテゴリ

PageNavigation 2.0

Designed by 石津 花

お慕いしております(●´ω`●)

✿✿✿ ✿✿✿         ✿✿✿

リンク

ようこそ♪

プロフィール

みぃ

Author:みぃ
ブログ公開:2012/4/17

この作品に出会えて
本当に良かった。
これからもずっと変わらず
愛してます。(主に副長を♡)

QRコード

QR

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
                        web拍手 by FC2

集真藍 [前編] 


【土方 歳三/屯所】



「止まないねぇ」 「止まねぇなぁ」
 ここは泣く子も黙る新選組の屯所。
 縁側でちづると平助が並んで座って どんより重い空を眺めていた。
「このままだと 明日は中止になっかもしんねえなぁ」
 ぽつりと言う平助の方を見て ちづるも残念そうな顔をする。
 まだ昼前だが 厚い雲の所為で辺りは薄暗く 
 そこから降り続く雫を見ていると 気持ちまで沈んでくる。
「なんだなんだ?お前ら どっかのじぃさんとばぁさんみてえだぞ?」
 突然威勢のいい声が聞こえて来くる。
「新ぱっつぁんかぁ 今帰ったのか?」
「おうっ 市中は特に変わった事は無かったぜ」
 手ぬぐいで濡れた体を拭きながら 二人の隣に座った。
「お疲れ様です! 今熱いお茶 お持ちしますね」
 そう言って ちづるが勝手場へ行こうと立ちあがった。 
「すまねえなっ ちづるちゃんっ」
 ちづるはにっこり笑って 奥へ姿を消した。
「へへへ」
 何か言いたそうな笑いで平助を見る新八。
「な 何だよ?」
 平助が不気味そうに見返す。
「何話してたんだよっ? ちづるちゃんと」
「はぁ?別に」
 平助は 肘で脇腹をツンツンと突いてくる新八を訝しげに見る。
「隠さなくたっていいじゃねえかよぉ」
「そんなんじゃねえよ ほら明日祭りがあるだろ?でもこのまま雨だったら」
「ああ……」
 返事をして新八は目線を空に持っていった。
「珍しく土方さんの許しが出たんだよ ちづるを連れてってやれって」
「本当か!? あの土方さんがねぇ」
「だけど…… 」
 昨日からジタジタと降り続けている雨に
 諦める様に言われているようで 平助は祭りが中止になる事で
 さぞちづるががっかりするだろうと その心配をした。
「……ん!! アレだ!!」
 耳元で大声を出され 平助が驚く。
「なんだよっ 急にでけえ声出しやがって」
 怪訝な顔の平助に 新八はニカっと笑って言った。
「雨っ 止むかもしんねえぞ!!」



「てれてれ法師? それで雨が止むんですか?」
 ちづるは持って来たお茶を新八に渡しながら 興味津津で聞いてきた。
「ま 絶対って訳じゃねえよ まじないみてえなもんだ」
「それを軒先に吊るせばいいって言うけどさ 作り方知ってんのか?」
 疑り深い目で見ながら 平助が新八に問い掛ける。
「てめえ俺を誰だと思ってんだ? こう見えてもなぁ…… 」
「はいはいっ そんな事いいから早く教えてくれよっ」
 教えてやる方の立場なのに 何故か軽んじられているようで
 新八がいじけた顔をした。 それに気付いたちづるが
「さすが“学のある”永倉さんですよね! お願いします!教えてくださいっ」
 と盛り上げたので「よぉし よぉしっ」と新八は上機嫌になり
 説明の為に座敷へ来るよう二人を促した。
 ちづるはチラリと平助を見てペロリと舌を出し その後をついて行った。
 それを見た平助は
「(俺も知らぬ間に ちづるに操られてんのかな?)」
 と冷や汗を掻いた。


「何の 騒ぎ?」 
 がやがやと聞こえてくる声に釣られて 総司が覗きに来た。
「てれてれ法師っつうの作ってんだよ 総司」
 平助が言うと 腕組みして柱に寄り掛かった総司が
「ふ~ん 明日の為に?」
 と あんまり興味無さそうに言う。
「あれ? 総司知ってんのか!?」
 自分以外にもその存在を知っている奴がいるのかと新八が驚く。
「そんなに大した代物じゃないでしょ そんなの」
 一瞬で座敷内の空気が冷え 全員の手が止まる。
「新八いるか?」
 沈黙を破ったのは そこに入って来た斎藤だった。
「なんだっ 俺になんか用か?」
 新八は助け舟が来たとばかりに 斎藤に聞き返す。
「お前に 島原から使いが来ているぞ」
「いっ!?」
 見る見る内に 顔色が青くなる。それを見て平助が
「新ぱっつぁん またツケで飲んできたのかぁ?」
 呆れ顔で言うと 新八は慌てて言い訳する。
「うっうるせえよ たまたま持ち合わせが無かっただけだっ」
「とにかく使いの者が待っているからな 逃げられんぞ…… ん?」
 座敷から出ようとした斎藤が そこに散らばる布やら鋏やらを見て
「何をやっているのだ?」
 と聞いてきた。「てれてれ法師を作っているんですよ 斎藤さん」と
 ちづるが言うと「てれてれ?」と不思議そうな顔になった。
「明日のお祭りの為に 雨が止むように おまじないなんです」
 そう聞くと 何故か斎藤が目を見開いて
「俺も手伝おう」
 と腰を下ろしたので 総司を覗いた全員がまた固まった。
「え? はじめ君も…… 作ってくれんの?」
 平助が聞き違いか?と言う顔で聞く。
「なんだ 可笑しいか?」
「可笑しいだろ だってお前斎藤だろ?」
 言い回しがどこか変に言う新八だが 隣で平助もうんうんと頷く。
 すると ぷっと吹き出して
「何言ってんのさ すごくはじめ君らしいじゃないっ」
 と笑いを堪えて言う総司を 斎藤が顔を朱に染め睨んだ。 
「おいっ 新八!」
「左之っ?」
「島原の使いが 今日は払ってもらえるまで帰らねえって待ってんぞ!」
「ううぅ お前もかよ…… 」
「諦めて 行ってきなよ新ぱっつぁん」
 平助に言われて 項垂れながら新八はやっと座敷から出て行った。
 左之助はそんな新八の背中を見送った後 斎藤同様部屋の有り様に気付き
「そんなら 俺も手伝うぜ」と何故か喧嘩の前のように指を鳴らした。
「沖田さんも 作りませんか?」
 ちづるが誘うと 口元をちょっと上げて
「僕はいいよ そろそろうるさい人が来そうだし」
 と行ってしまった。その予言の通り 総司が出てって暫くするとその者は現れた。

「てめぇら 仕事もしねえで何してやがる!?」

「うわっ 土方さん!」
「うるせえのが来たな ホントに…… 」
「ああ!? 何だって!?」
 いつにも増して 眉間の皺を深くして土方は全員を見渡して睨んだ。
「副長!申し訳ありません!これには ちょっとした訳が…… 」
 斎藤が事情を説明しようとしたが
 そんな事は耳に入らないとみえて土方は怒り出す。
「原田っ 斎藤っ てめえら今日の飯当番だろうが!
 そろそろおっ始めねえと間に合わねえぞっ それから平助!!」
「ええ? お 俺ぇ!?」
「お前 昨日頼んだ使いにもう行って来たんだろうな?」
「…… っああ!!」
「ばかやろうが!! 全員とっとと行って来い!!」
「はいっ」と返事すると 三人はあたふたと座敷から出て行った。


 ひとり残されたちづるは 今にも泣きそうな顔で土方を見た。
「す すみません土方さん 皆さん私の為にしてくれた事なんです
 これを吊るすと 雨が止むおまじないらしくて」
 出来あがったてれてれ法師を土方にかざしてみせる。
「祭りに行く許可を出したのは俺だからな 気持ちも分からなくもねえが」
 言いながら ちづるの手にぶら下がった物を見る。
「てれてれ法師か…… 」
「ご存じなんですか!?土方さんっ」
 意外だと言うようにちづるが驚く。
「俺がそれを知ってたら 可笑しいかよ?」
「いいえっ でもこんな子供がするような事…… 」
「それ…… 間違ってんぞ」
「え!?」とちづるは自分が作ったてれてれ法師を見る。
 新八に言われた通りに作った筈なのに 
 どこが違うのかと持つ手を高く上げて眺めてみる。
「最初 目だの口だのは描かねえんだ 晴れたら描いて祀るんだ」
「そっそうなんですか!?」
「へぇ~」と感心したようにちづるが見るので 
 自分がそんな事に詳しいと知られ 土方はちょっと照れたように目を逸らした。
「じゃあ これみんな作り直しだぁ…… 」
 不格好ながらも 仕上がりつつあった数個のてれてれ法師を前に
 がっかりした様子のちづるを見かねて つい鬼の口が滑った。
「しょうがねえな 手伝ってやるよっ」




― 前編 了 ―

関連記事
                        web拍手 by FC2

<< 集真藍 [中編] | ホーム | 「で 今日はどうしました?」 >>


 BLOG TOP 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。