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みぃ

Author:みぃ
ブログ公開:2012/4/17

この作品に出会えて
本当に良かった。
これからもずっと変わらず
愛してます。(主に副長を♡)

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君と一緒に


【藤堂 平助/屯所】




「ちづるぅ おーい いないのかぁー?」
 屯所の中庭で 平助がちづるを探していた。
 じりじりと強い日差しが照りつけている午後。
 油蝉の羽音がうるさい中 その音に負けじと大声を出している。
                                                                                    
 ちづるが何処に居るのか見当もつかず闇雲に名を呼ぶ。
「ちぃー づぅー…… 」
「なんだ平助 ちづる探してんのか?」
 縁側を歩いていた原田に声をかけられる。
「あ 左之さん そうなんだ どっかで見なかった?」
「いや さっきまで勝手場で洗いもんしてたけどな」
 原田はそちらの方に目を向けて言う。
「なんだよぉ いったい何処に行ったんだぁ?」
「なんの用なんだ?」
 困ったなぁという風に頭をガシガシと掻く平助に
 興味ありげに聞いてくる原田。
「土方さんに使いを頼まれたんだ」
「ちづるもか?」
「たまには巡察のついでじゃなくて 普通の買い物でもさせてやれってサ」
 どうしてか嬉しそうに平助が話す。
 そう聞いて原田は目を見開いた。
「へぇぇ~ 土方さんも丸くなったもんだなっ」
「まっ ちづるにだけ…… だよな おっと時間無くなっちまうっ」
「見かけたらお前が探してたって言っとくよ」
「ん! 頼むよ」
 また平助はちづるを探し始めた。


「ちづるぅー ちっづるーーーぅ」
 何度も何度もその名を呼ぶ。
 口にする度 平助の心にほわんとした感情が湧いて 
 幸せな気持ちで満たされていく。
「ちづるぅぅーー」名前のついでに
「大好きだぁーーーーっ」と叫んでしまおうとした時
「なぁに? 平助くんっ」
 後ろから突然声をかけられ 平助は飛び上がるほど驚いた。
「うっ うおぉぉぉぉーーっと!!」
「ど どうしたの?」
 あまりの平助の驚き様に 今度はちづるが狼狽した。
「うぅうんっ なんでも! お前を探してただけっ」
「そう ごめんね ちょっと斎藤さんの…… 」
 視線を外して頬を染めて もじもじするちづるに 
「はじめ君?」
 内心穏やかでない平助は 怪訝な顔をして聞き返した。
「ううんっ なんでもないの」
 と言う彼女の事は非常に気になる所だが ここは時間もないので
 とりあえず探していた理由を伝え 
 喜んでいそいそと支度をしに行った彼女を待つ事にした。
「はじめ君と 何が…… 」
 思案している内に「おまたせぇ」と言いながらちづるが戻って来る。
「(女の子だなぁ)」
 男装しながらも 顔をほころばせて走ってくる彼女を見て
 今の今まで悩んでいた事も忘れて 平助は素直にかわいいと思った。
 最初の出会いこそ男子と信じていたが
 やっぱりもう女の子にしか見えなかった。
(「ちっちゃいし ほそっこいなぁ まだガキじゃん こいつ」 
 とか言ったんだよなぁ 俺 )」
 当時を思い出し ちょっと落ち込む平助に
「平助くん?」
 ちづるはくりくりした大きな瞳で顔を覗きこんで来た。
 近づき過ぎるちづるの顔に「(反則だろっ ソレ!)」と思いながら
「お おぅ  い 行こうか」
 平助はぎくしゃくしながら先に歩き出した。


 京の街は暑さの所為か 道中を歩いている人は少なかった。
「あと他 何処が見たい?」
「ん~ そうだなぁ  土方さんのお使いって何処なの?」
「あぁ それは…… ほら あの紫の暖簾の店」
 平助が指さす方に目を向ける ちづる。
「じゃ 行って来て……って そうはいかないか だめよね……
 私が一人になっちゃ」
「う~ん 俺は別にいいんだけど…… 」
 今更ちづるが逃げるなんて あるはず無いと平助は思っていた。
 女の子なのだから 男の俺が隣にいると                          
 買いにくい物があるのかもしれないと平助は思い 
「んっ いいさ その代わりこの通りのあの角までの間な?」
 とちづるが一人になる事を許した。
「うん! 分かった ありがと平助君」
 そこで二人は別れた。


「承知いたしましたと土方様に どうぞよろしくお伝え下さい」
店の主人は 平助から土方の言付けを受け取ると そう言って頭を下げた。
土方からの用事を済ますと まるで自由になったかのように
店先でうーんと伸びをした。 それから
「ちづるはっとぉ」と言いながら ぐるりと双眸を巡らせた。
「(どっかの店ん中に いるのかな)」
 ざっと見渡した所 何処にもちづる姿は見えなかった。
 一人になったとはいえ 逃げるなんて思いはしない。
 ただ もしかしたら風間共がちづるをさらって行ったとしたら……
 そう思うと居てもたってもいられなくなった。
「やっぱり 一緒にいるんだった!」
 舌打ちした後そう吐いて平助は 彼女をひとりにした己に腹を立てた。
「ちづるぅーーー 何処だぁーーーーっ」
 辺りの目も気にせず 再びその名を呼ぶ。 それは叫びにも近かった。
 地面から熱気が立ち込める中 彼の額から頬に大粒の汗が浮かぶ。
 屯所での 幸せを感じる呼び方と打って変って緊迫したものだった。
「平助くん!!」
 少し離れた呉服問屋から ひょいっと顔を出したちづる。
 急いで平助の元へ駆け寄った。
 平助もほっとして ちづるの所に行くと 
「はぁぁぁ もぉ心配させんなよぉ 」
 安堵の溜め息と共に両手を膝に置き 前かがみになり項垂れた。
 長い髪が熱い地面の上に流れる。
「ご ごめんね 平助くん」
 すまなさそうに謝るちづるに 
 平助はしょうがねぇなぁと言う風に 情けなく笑った。
「用は済んだのか? なら帰ろうか」
「うんっ」
 二人は並んで歩き出した。
「(ずっと こうして ちづるの隣にいる男でいたい)」
 誰よりも守ってやりたい そんな気持ちになったのは
 平助にとってちづるが初めての女だった。
 そんな風に思われているなど知らないちづるは
 無邪気な笑顔を平助に向けていた。
「平助くん?」
 彼の手はいつの間にか ちづるの腕を掴んでいた。
 無意識の内に ちづるの身を引き寄せ……


ピカッ 


「え?」
「あっ……!?」
 稲光の後爆音が響き さっきまでの天気が嘘のように
 ザァッとする音と共に 大粒の雨が降ってきた。
 いや 降ると言うより 
 たらいの中の水をひっくり返したと言う方が合っている。
 そんな状況だった。  
 雷は幾度も光り 二人がいる所から離れた地に落ちていた。
「うわぁぁぁ!!」
 怖がる声を出したちづる…… では無く それは平助の方だった。
「か 雷! 俺 だめっ!!」
 手で自分の頭を覆って身を守り小さくなる平助。
「大丈夫だよっ とりあえず何処か雨宿りしよっ」
 ちづるに腕を引っ張られて ようやく歩き出す。
 その間も稲光は容赦なく二人を照らし 
 その都度平助が ギャーギャー悲鳴を上げた。
「あっ いい所があったよ!」
 ちづるは雨がしのげる寺のお堂を見つけ指を指した。
 転がり込むように中へ入る。
「はぁ~  だ 大丈夫? 平助くん!」
 平助からは返事が無かった。
 あまりもの自分の不甲斐無さに顔も上げられず 折った膝の中に埋めていた。
「(俺  かっこ悪っ)」
 誰が誰を守るって?
 雷ごときに腰を抜かして好きな女に逆に守られて……
 男として最低ぇだっ!!
「平助くん 体ふかなきゃ」
 ちづるはそう言い 着物の袂から何かを取り出した。
 がさがさとする音を不思議に思って 平助がようやく顔を上げた。
「それ…… 新しいやつ?」
 ちづるが取り出したのは手ぬぐいで 
 今買ったばかりという風に店の紙に包まれていた。
「うん さっき買ったんだよ」
「いいのか? 使っちゃって」
「うんっ だってこれは平助くんにあげようとした物だもん」
「え?」
「平助くん 屯所を出てくる前からすっごい汗掻いてたから
 すぐ使えるように 糊の抜いてある物にしたんだぁ」
「俺に?」
 ちづるは包みを外すと 先に平助の頭を拭き始めた。
 長い髪がすっかり水を含み 益々長く見えていた。
「平助くんの髪ってキレイだね」
 言いながら手ぬぐいで何度も撫でてやる。
 ふいに平助はその手を止め ちづるから手ぬぐいを奪った。
「どうしたの?」
 彼は不思議そうに自分を見る ちづるの髪紐を徐に解いた。
 高く結っていた黒髪がスルッとその肩に落ちる。
「お前の方が ずぶ濡れじゃねぇかよっ」
 両手で頭を挟むようにして わしわしと拭いてやる。
「やっ 痛いよっ 平助くん!」
 はははっ と笑っていた平助の手が止まる。
 吸いこまれそうな大きな瞳。 柔らかいであろう桜色の唇。
 雨に濡れ貼りついている着物は ちづるの体の線をあらわにしている。
「平助くん?」
 やけに地面に跳ねる雨の音が耳に響いて来る。
 一緒になって己の心の臓の音まで 
 ちづるに聞こえているんじゃないかと思う平助。
 それ程までに鼓動がうるさかった。
 下唇を噛んで何かの衝動と闘っていた彼は その無垢な瞳に勝てなかった。
 ちづるの顔を手ぬぐいで覆い その体を抱きしめる。
 「へ 平助くん!?」
 はははっと平助はまた大笑いをし 左右にぶんぶんと抱きしめたまま身をよじり
 一瞬だけ止めた後 名残惜しくちづるの体を解放した。
「もお 何なの!?」
 わしゃわしゃになってしまった髪を気にするちづる。
 そんな怒った彼女の顔すらかわいいと思う平助。
「ちづる」                                              「なぁに?」
「俺 近々江戸へ行くんだ」
「そ そうなの?」
「ああ 隊士募集の為だからちょっと長い間になりそうでさ」
「そう…… 寂しくなっちゃうな」
 ちづるは本当に寂しそうに目を伏せた。
「傍にいてやれないから お前が心配でしょうがねぇよ」
「え?」
 ようやく頬を染めるちづる。
 平助はふと思った。
「(もしかして土方さん俺の為に?)」
 まさかなと思い直して苦笑いする。
「なぁ? そのぉ屯所で言ってた はじめ君の事だけど…… 」
「え? ああ あれ…… 」
「き 聞いちゃだめか?」
「えっ!? そ それはっ」
「聞きたいんだけど! つぅか教えてくれ!! 頼むっ」
 両手を合わせて拝み倒す平助に負けて ぼそぼそ話し出すちづる。
「ふ…… んど…… し が」
「え?」
「斎藤さんの…… ふんどしが 私の部屋に紛れていて渡しに行ってたの」
 耳まで朱に染めるちづる。
 平助は噴き出すのを堪え同時に安堵した。

「あ 雨止んだみたいだよっ」
 ちづるが髪を元に縛り直しながら 外の様子に気付き言う。
「よしっ んじゃ帰ろうぜっ」
「うんっ」
 雨が去った後の外は湿気が漂って むわっとしていた。
「夕方なのに まだまだ蒸し暑いなぁ」
「本当だねぇ…… ねっ 平助くん?」
「んぁ?」
「なんで 雷だめなの?」
「ぐっぅ!?」
 悪戯っぽく聞いてくるちずるに
「(俺は これからも ずっと こいつには頭が上がらないんだろうな)」
 と思う平助だった。



ねぇ ねぇ なんで駄目なのぉ?

あーー もぉっ それはっ勘弁してっ
                



― 了 ―


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