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みぃ

Author:みぃ
ブログ公開:2012/4/17

この作品に出会えて
本当に良かった。
これからもずっと変わらず
愛してます。(主に副長を♡)

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土方先生が育児休暇をとりました


【土方 歳三/現代夫婦・子】




「育児休暇ぁ? お前がか? トシ」
 近藤は書類に向けていた目を 自分のデスクの前に立つ教師へと移した。
「奥方は そんなに大変なのか?」
「近藤さんは "アレ"を見た事がねえからな…… 」
 ひとつ吐いた溜め息の後そう言うと 
 土方はこの学園長室内に並ぶソファへ腰を下ろした。
「とにかく うちのガキ布団の上で寝やがらねえんだ
 眠ったかと思って ちょっとでも身体傾けると目ぇ覚まして大泣きだ
 ちづるは泣かせたくなくてずっと抱いてんだ 夜も一晩中……
 だから あいつ寝不足で最近よく眩暈起こすんだよ あのままじゃ
 その内ぶっ倒れちまうよ勝ちゃん あぁまさか一週間とかくれって
 言うンじゃねえんだ 二日…… いや一日でもいい」
 言い終わると 土方は再び溜め息を吐いて頭を掻いた。
「そうなのか…… だがしかしお前に出来るのか?子守なんて」
「あたぼうよっ てめえのガキの面倒看れねえでどうするよっ
 なにせ俺は"鬼の副長"だったんだからな 言う事きかすのは得意だ!」
「言う事って…… 相手は赤ん坊だぞ トシ…… 」
 右手に拳を作って力説する土方に 今度は近藤が息を吐いた。



 上着を脱ぐ夫の後ろで 相変らず赤ん坊を抱いたちづるが声を上げる。
「えぇ!? 本当に戴いてきちゃったんですか?育児休暇っ」
「おうっ 近藤さんが承諾してくれたからな つっても二日間だけな」 
 土方はネクタイを外して 所定の場所に引っ掛けながら話を続ける。
「だからお前は今から実家でも お千の所でも行って羽伸ばして来いっ」
「そんなっ 皆さんにご迷惑おかけして 自分だけ楽するなんて出来ません」
 ちづるは眉根を下げて 腕の中の赤ん坊に視線を向ける。
「それに この子を置いて行くなんて…… 」
「ちづる…… お前に倒れられたら困るから言ってんだぞ?」
 妻の肩に置いた手を引き寄せて もう片方の手をその頬に添えた。
「副長命令は絶対…… だろ? ん?」
 顔を近づけ 言いきかすように瞳を覗き込む土方。
「はっ はい…… 」
 甘い感触が得られると思った時……
「ぴっ ぎゃーーーーーーーーーーっ」
 抱かれていた赤ん坊が ふたりの邪魔をするかのように泣き始めた。
「……思いなしか お前にキスすんの責められたような気がするんだが」
 土方は我が子をジロリと睨むと ちづるから赤ん坊を取り上げた。
「てめえ いい度胸してんじゃねえかっ
 俺はな ちづるとのキスを邪魔されんのが一番頭にくるんだよっ
 そもそもてめえが布団で寝やがらねえから 毎晩毎晩俺はひとりで寝てんだぞ?
 てめえが生まれる前はなぁ そりゃぁいちゃこらしてたんだっ
 やっとちづるも"いろいろ"出来るようになって 楽しみになってきたってのに
 俺の欲求不満っどうしてくれんだ!」
「土方先生止めてくださいっ 
 そっ そんな訳じゃ無いですよっ お腹が空いただけですっ」
 赤ん坊を高く持ち上げて説教をする土方に おろおろとべそを掻きながら
 ちづるは止めに入った。
「なんてな…… 見ろよ こいつ」
 言いながら腕の中に赤ん坊を抱くと 土方は打って変って穏やかな顔をして
「眉間の皺の寄せ具合が 俺そっくりじゃねえか 
 おまけに5月5日と誕生日まで同じなんてなぁ…… 」
 それを伸ばすようにくりくりと指を押し付ける。
「普段ろくに抱く事も出来ねえンだ たまには俺にもいじらせろっ」
 やっと泣き止んだ赤ん坊に不満気に見られて 土方もまた同じように眉根を寄せた。
「土方先生…… 分かりました お言葉に甘えます」
 その言葉が自分を休ませる為だと思いつつ それも夫の本心なのかもしれないと
 ちづるは思って決心した。
「おうっ 任せろっ」
 素直に休んでくれる妻に 土方はほっとして微笑んでみせた。
 出かける支度を終えたちづるは 荷物を玄関前に置くと土方に説明をし始める。
「ミルクをあげる前におむつを替えてくださいね?あっその時は"噴水"に気をつけて」
「ああ この前やられたな…… 」
 土方は思い出して 少し憂鬱になる。
「哺乳瓶にミルクのキューブを入れてから お湯を入れてよく振って残りのお湯を
 入れて下さいねっ 赤いポットのほうですから 白いポットは大人用で熱いですよ
 飲み終わったら"げっぷ"させてくださいね それから…… 」
「大丈夫だちづる 俺は"鬼の副長"だぞ?」
 未だ涙目のちづるを 土方は半ば呆れ顔で眺めた。


「じゃ…… お お願いしますね…… 」
「心配いらねえからなっ ゆっくりしてこい」
「はい…… 」
 後ろ髪を引かれながら ちづるは玄関のドアを締めた。
 バタンと音がすると 土方に抱かれている赤ん坊がキョロキョロしだす。
 父親と目が合い たちまち不機嫌な顔になってくる。
「なんだ? でけえ方か?」
 顔をまっ赤にして息む赤ん坊の様に そう声を掛けた瞬間
「ぴぎゃぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーっ」
 耳をつんざくような悲鳴にも似た声で泣き出されて 
 土方は思わず赤ん坊を落としそうになった。
「ったく早速かよっ お前もどんだけちづるが好きなんだよ 俺と同じじゃねえかっ」
 ぶつぶつと言いながら 土方は玄関からリビングへと移動して
 ベビーラックに赤ん坊を乗せると キッチンに向かう。
「いいかぁ? お前の母さんは疲れてんだぞ」
 土方はちづるに言われた通り ミルクを作り始めた。 


 あいつは手を抜くってのが出来ねえ性分だ。
 何でも一生懸命で それに自分じゃ全然気がついてねえ。
 だから俺は心配なんだよ いつか
 あいつが本当に倒れちまうんじゃねえかって。
 お前はこれから彼女が出来て いいかもしれねえけどよ
 俺にはあいつしかいねえんだよ。
 だから…… 大事にしねえとならねえんだ。
 許せよな。
 お前の親父は お前の母さんに惚れ込んでるからよ。
 

「おっと 飲ませる前にケツかっ」
 まだ取り替えてなかった事に気付き 紙おむつを探す。
「お前も 女を泣かすか」
 ニヤリと意地悪そうに笑って テープを止めていく。
「ほ~れ お待ちかねだっ」
 山型の小さな唇に乳首を当てると 待ってましたと吸い付いて来る。
 勢いよく飲んでいたが 後少しの所で赤ん坊は瞼を閉じてしまった。
「あ? 寝ちまったのか?」
 最初こそ うにうにと唇を動かしていたが その内
 赤ん坊はすっかり眠りに入ったようで 乳首を離して寝息を立て始めた。
 土方は試しにベービーベッドに下ろしてみようかと思ったが
 寝入った重さと その柔らかい感触が手放せなくなって
 ハーフケットを引っ張り赤ん坊を包むと 自分もクッションを当てた壁に
 背中を預けた。 抱いている胸が段々暖かくなって来てうとうとしてくる。

『ひ……方先生 土方先生 あのぉ…… 』
『ん? どしたぁ』
『私…… あの えっとぉ』
『なんだ?』
『あのっ 私っ あ 赤 ちゃん…… が出来ちゃいました…… 』
『っ!? …………お 俺の子じゃねえ とか?』
『ええ!? どっ どうしてですか!?』
『だってよ 目え逸らして困った顔して 嬉しそうじゃねえから』
『そっ それは今まで先生が「赤ちゃん欲しい」って言った事なかったので』
『いらねえと思ってんじゃねえかってか?
 確かに欲しいって言った事はねえけどよ それはプレッシャー掛けねえ為だ
 お前との子供…… 欲しくねえ訳ねえだろうっ このバカ野郎が』

 ぎゅっ

『いいですか? 産んでも…… 』
『当たり前だろっ ……良かったな』
『はいっ』
『大事にしろよ?』
『はい…… 』
『毎晩頑張った甲斐があったな』
『は…… はひっ!?』

 これはあの時…… 。
 ちづるに赤ん坊が出来たと 初めて聞いた日の…… 夢か?
「土方先生 こんなトコで寝たら風邪ひいちゃいますよ」
 ちづる?何で居るんだ? ああ…… 俺はまだ夢を見て……
「!? お前なんで…… もう二日経ったのか?」 
 まどろみから急に目覚めて 土方は居る筈の無いちづるに話しかけた。
「ふふふ 違いますよっ」
 出かけて行った時とはまるで違う にこにこと嬉しそうな顔で答える。
「私が 帰って来たくなってしまって…… 」
「どうして?」
 逆に土方は眉間の皺を寄せ始める。
「怒らないで下さい 
 だって土方先生とこの子が居ないのに ゆっくりできたって
 嬉しくも楽しくも無いです
 それに私だけここに居ないなんて嫌です 三人で家族なのに…… 」
 土方は微笑むちづるを暫く眺めて 自分も口の端を上げると
 その手を取って引き寄せた。
「っ!?」
 結婚前と変わらず朱に染めた頬に口づける。
「ぴっ」
 その声に 起きてしまったのかとギクリとした父と母は視線を投げると
「げふっ」
 赤ん坊は小さな身体を揺らすほどの"げっぷ"をした。
「そういや ミルク飲ませた後に"げっぷ"させんの忘れたワ」
「こいつ寝ちまったからよ」シラッと続ける土方に 
 あれ程強く言ったのを忘れ ちづるは「まぁ」と然して驚いた風でも無く呟いた。
「くっ」  
「ぷっ」
 お互いを見合わせて 我慢出来ずに噴き出す夫婦。
 いつの間にか近づき過ぎた顔をそのままに どちらともなく唇を寄せ合う。

「幸せ…… 」
「ああ…… 」

 ちづるが囁いて 土方が頷く。
 


 父親の腕の中で赤ん坊が眠りながらも 自分を忘れるなというように
 また小さく声を出した。





― END ―



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