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みぃ

Author:みぃ
ブログ公開:2012/4/17

この作品に出会えて
本当に良かった。
これからもずっと変わらず
愛してます。(主に副長を♡)

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ちぇりぃ★はぁと【18】


連載【土方 歳三/転生SSL】「桜色の君 想う」転生編
お願い:初めての方はちぇりぃ★はぁと【はじめに】を一読してください。




 体勢を戻した少年をカーテンの隙間から見た土方は一瞬息を飲んだ。
「……っさ、斎藤、なのか?」
「はい。こんな態をしていますが、俺です」
 問い掛けに、彼にしては珍しく照れくさそうに破顔して答えた。
「俺が誰なのか、わか」
「先程もお呼びしました、"副長"、と」
「じゃあ、これは…… おまえが?」
 その質問に黙って頷く斎藤を見た土方は呆けたまま視線をずらして、彼の隣にいるもう
 一人の少年の名前を口にする。
「おまえは、総司…… 」
「何をボ~っとしちゃってるんですか。しっかりしてくださいよ、土方さん」
 薄笑いの沖田は腕組みを解いて、手にある棒付きキャンディを口元に持っていきペロリと
 舐める。名指しで窘められた土方は不機嫌そうに眉間に皺を寄せるが、口端を上げて
「そうか…… 。総司、てめぇはいつもイイところで邪魔しに来るな」
 文句を言った後、漸く腕を放してやったちづるに制服のブレザーを羽織らせてからベッド
 回りのカーテンを開けた。
「あ…… 沖田さんに斎藤さん…… お二人共この時代にいらしてたんですね」
 先に聞こえた懐かしすぎる声だけでちづるは胸がいっぱいになり、目の前の二人の姿は
 滲んで揺らいでいる。
「久しぶりっ、ちづるちゃん」
「ちづる…… 」
 一週間ぶりに会ったかのような沖田の口振りと、言葉に表せずにただちづるの名を
 口にしただけの斎藤に、正反対な性格でありながら息が合う二人だったことを彼女は
 思い出していた。
「沖田さん…… お元気そうで、なによりです」
 溢れ流れる涙をそのままに嬉しそうに目を細めたちづるに、沖田はばつが悪そうに肩を
 くいっと竦めてみせる。 
「ずっと私を守っていてくれましたね」
「へぇ~、キミは気づいてたんだ。完璧に気配を消したつもりだったんだけど……
 僕もこの緩い時代に感化されちゃったのかな。でももう一人のキミのほうは全然だった
 から遣り易かったけどね」
 その時のことを思い出し、楽しげにくつくつと笑い出す沖田を土方が訝しく眺める。
「守った?」
「そう総司に頼んだのは俺です。詳しいことは後ほど報告しますので…… 」
 どういうことだと言わんばかりの目を土方に向けられた斎藤が少々焦り気味に答えた。
「あのお訊きしたいのですが、何故斎藤さんと沖田さんは"私たち"がわかったんですか?」
 再会の驚きが落ちつくと、尤もな疑問がちづるの頭に浮かんだ。
「それは…… 」
 言葉を詰まらせ何か思案する斎藤を見た土方が、そのきっかけを話そうとした時
「とっ、とてもこの場では語り尽くせないほど長い話になる。折りをみて説明する…… 」
 彼を案じた斎藤はそれを遮るように言葉を続けた。土方はそれを受けることにした。
「だがこれだけは言える、俺とおまえがこうやって遭えたのも斎藤が尽力してくれたからだ」
「斎藤さんが…… そうだったんですか。お世話になりました、ありがとうございます!」
 知りたいことはわからず仕舞いだったが、土方が言うのであれば間違いないのだろうと
 ちづるは斎藤に深々と頭を下げた。
「斎藤、何もかもおまえのお陰だ。俺たちが想像もつかない程の苦労をしてきたと思う。
 心から礼を言う、本当にありがとうな」
 土方の隣にちづるが並び一緒にまた頭を下げて、自然と互いの顔を向き合わせた。
 着ている物は違えどあの頃の二人がそこにいる。最後に見た、悲しみに暮れる姿でなく
 無念の涙でもなく、まるで春の柔らかい日差しを浴びているかのような穏やかで幸せな
 その光景が当時のままだと斎藤は感慨に耽る。
「いいえ、と言いたいところですが正直キツかったです。ですが、報われてホッとしてます」
無理もないよね、失敗したら自分の人生もそこで終わっちゃうとか…… 
「総司!」
 いきなり声を荒げる斎藤に驚いて、土方とちづるの視線が彼に向けられた。
「どうした? 斎藤」
 土方の声も耳に入らないのか、斎藤は返事もせず沖田を睨んだままだった。当の沖田は
 鋭い眼差しに怯むこともなく、ハッと呆れたように短い息を吐く。
「こっちのことなんで気にしなくていいですよ~。ところで土方さん」
「なんだ?」
 二人が放つ殺気を感じていた土方は、気づかない振りをして返事をした。
「僕って…… いつもあなたの邪魔、してました?」
 唇にキャンディを当てるも舐めもせず上目遣いで探りを入れる沖田に、土方は白々しいと
 ばかりに舌打ちして腕組みする。
「覚えがねえとは言わせねえぞ。自分が暇だからって、急ぎの仕事してる俺の部屋に来て
 わざと声に出して本を読み始めて気を散らすわ、近藤さんと二人でゆっくり茶を飲んでる
 ところへ割り込んで来るわ、静かに句を詠ん…… と、とにかくだなっ」
「へぇ…… そうなんだ」
 何処か遠い目をして他人事のように呟く沖田に、土方とちづるは見合って首を傾げる。
「実は総司はぼんやりとした記憶しかないんです。その辺のことも追々お話しますので」
「……わかった」
 ぼんやりとは一体どの辺までなのか。土方は気になるものの、神妙な面持ちに変わった
 沖田を見てその時が来るまで待とうと思った。
「お二人でいろいろと話がありましょう。今は昼休みです。"ちづる"は具合が悪くて教室を
 出て来てますから怪しまれることもないと思います、暫く此処で」
「"土方先生"の授業はどうすんの?」
 教科の担当教師が連絡もなく姿を晦ましたとなれば、かなりの騒ぎになるだろう。
「確認済みだ。今日は午後から受け持つ授業は無い」
 抜かりはないとでも言いたげに斎藤は胸を張る。
「凄いねっ、嘘みたいなタイミング! でも校医の山南先生が来ちゃうんじゃない?」
「あの校医の山南って人は、中身も"山南さん"なんだな?」
 間に入ってきた土方の確認とも取れる質問に、斎藤は迷いなくしっかりと頷いてみせる。
 自分とちづるのほかに嘗ての一番組組長と三番組組長である沖田と斎藤が、こうして
 生まれ変わって存在している実例を目の当たりにした土方は、総長だった山南敬助の
 こともすんなりと受け入れることができた。
「いや、山南先生は用ができたらしく急遽ご自分の病院にお帰りになられた。ただ…… 」
「あ~、あの子ね」
 思い当たる人物がいるらしく、沖田はひとりうんうんと頷く。
「あの子?」
「我々と同じ3年の山崎という生徒が保健委員をやっていまして」
 答えを求めた土方がその名を聞いた瞬間、紫の目を見開いた。
「おい、山崎って…… まさか」
「はい、あの山崎烝です」
 ちづるもすぐさま反応して声を上げる。
「監察方の山崎さんがいらっしゃるんですか!?」
「ちづるちゃん、山崎君と今まで接触なかったんだ。彼も今はこの学園の生徒だよ」
「そ、そうなんですか。私ったらつい懐かしくて…… 。そうですか、山崎さんが…… 」
 江戸に戻る船の上で見送った彼の最期。あの悲しみを今も忘れはしない。けれどその
 山崎は時が経った現在、自分と同じに生まれ変わり平和に暮らしている。ちづるは救わ
 れたような気持ちになり、また瞳を潤ませた。
「その山崎が恐らく山南先生から伝達を受けて此処に寄る可能性は高いかと、なので」
「はい、はーい! そこで僕の出番でーす♪」
 急に右手を上げた沖田が満面の笑みを浮かべ叫んだ。嬉々とした様に意味がわからず
 土方とちづるは唖然と眺めるしかなかった。
「総司のクラスは5時限目が自習なので見張り役を任せます。もちろん廊下側で」
「はあ!? 総司が見張りだと!?」
「やだなぁ大丈夫ですよ! 覗いたりしませんからっ★」
 柳眉を盛大に歪ませて嫌悪感を隠さない土方に、沖田は片目を瞑ってみせる。
「総司は山崎の扱いに慣れているので安心してください。俺も放課後、部活が休みなんで
 戻って来ます。その時に先程説明できなかったことをお話しますゆえ」
「……わかった、よろしく頼む」
 一抹…… どころか山盛りの不安しか湧いてこない土方だったが、この時代では異様な
 存在の自分はこの場は大人しく、年若い彼らに従う以外に選択肢は無いと諦めた。
「斎藤さん、ありがとうございます。沖田さん、ご面倒をお掛けして申し訳ありません」
 沖田が楽しげに見えても、自分たちの所為で二人に迷惑を掛けていることに変わりなく
 ちづるも心から詫びる気持ちで頭を下げた。
「では、後ほど」
 軽く会釈をして入口の引き戸を静かに開ける斎藤に続いて、沖田が肩先まで上げた手を
 ひらひらと振りながら出て行った。





―【19】へ―






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