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Author:みぃ
ブログ公開:2012/4/17

この作品に出会えて
本当に良かった。
これからもずっと変わらず
愛してます。(主に副長を♡)

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ちぇりぃ★はぁと【17】


連載【土方 歳三/転生SSL】「桜色の君 想う」転生編
お願い:初めての方はちぇりぃ★はぁと【はじめに】を一読してください。



 南側校舎の一階には各教科の準備室が並び、保健室はその一番奥にある。
 グラウンドから離れた位置なのは、気分が悪くなった生徒が静かに休めるよう
 配慮されたものだった。授業を行っているこの時間は廊下を歩く者も居らず
 時折り遠くのほうで引き戸の開閉される音が聞こえるくらいだった。
「と、歳三さん?」
 ちづるは逸る気持ちを抑え、今度は少し不安げに土方の名前を呼んだ。
 また違うのかもしれない。そう思うと手放しで喜ぶことはできなかった。
 目の前の人物は自分が愛した人なのか、ただの高校教師なのか……
「……ああ」
 未だ虚ろな目をした土方は、それでもしっかりとした口調で答えた。
「ほ、本当に…… 本当にあなたなのですか?」
 長い長い年月は彼女の信念を徐々に失わせていった。疑り深くなるのは
 無理もないことで、それ程彼に焦がれていた故のもの。
「本当に俺だ。ちづる…… おまえなんだろ?」
 照れくさそうに眉根を下げた懐かしい微笑みにちづるは息をのむ。
「あっ うぅ あぁ…… 」返事が言葉にならず、嗚咽しながら懸命に頷く彼女を
 自分の胸に引き寄せ、両腕で抱きくるんだ土方が
「すまなかった。長いこと待たせちまったな」
 艶やかな黒髪に鼻先を埋め、ちづるの耳元で絞り出すように詫びの言葉を囁くと
 彼女は頬に流れる涙を散らすほど思いきり左右に首を振った。
「あ、謝らないでくださいっ」
 優しい夫を傷つけ悲しませた、心から愛してくれていたのに。
 罪は闇にのまれてしまった弱い自分にある。
「……元はと言えば私が」
 申しわけなく思い俯きながら話すちづるの両頬に、大きな手が添えられてゆっくりと
 引き上げられる。その先には紫色の瞳を揺らす悲痛な面持ちの土方がいた。
「よせ。そんな話を聞く為に俺はおまえを捜してたんじゃねえぞ」
 視界がすべて彼で埋まったちづるの瞼が自然と閉じられようとした瞬間
「だっ、だめです!」
 目を見開いて何かを思い出した彼女は、慌てて腕の中で身を捩り顔を背けたが
 それは今の土方相手では無駄な抵抗でしかなかった。
「歳三さん! "この子"はまだ…… フッ!?」
 激しく押しつけられた唇に呼吸を止められたちづるは苦しさから瞬きを繰り返す。
 それから捻じ込んできた舌先で口を開けられ、僅かに残る息も奪われる。
「んんっ    ん、……んぅ」
 うっかり捕まってしまった舌を甘噛みされたかと思えば、唇で優しい愛撫が続けられ
 忘れもしないとろけるような感触に、ちづるの抗う気持ちが段々と薄れていく。
「(ごめんなさい…… )」
 絡めるたび荒い吐息を混じ合わせながら、口内に溢れ出るものをその奥へと送り
 二人は喉を鳴らした。
「ちづ…… 」
 土方はちづるの背中とうなじを押さえ、いつの間にかちづるも土方の脇腹から通した腕を
 背中へまわし彼にしがみついていた。情愛溢れるその様は、紛う方なき夫婦の抱擁。

 何年も捜した。何年も彷徨い、そして待った。
 どちらかが気づいたとしても、どちらかが気づかない日々。
 何が足りないのか、何のきっかけが必要なのか。
 ここにいるのに、愛おしい人は別の未来を選んで目の前を通り過ぎて行ってしまう。
 それはいつかの自分も同じだったことだろう。
 再び出会うという願いが漸く叶った時、相手を求めるのは至極当然のことだった。
「どうした? さっきのおまえ変だったぞ」
 濃密な口づけを交わし、土方はあの頃に戻ったと錯覚するほどに酔いしれたものの
 最初にちづるが自分から逃げ出そうとしたことを思い出した。
「それは…… あなたが教師で、私がその教え子だからです」
「あ?」
 恍けている風でもなく、意味がわからないと言わんばかりに土方は眉根を寄せる。
「私たちは夫婦ですが、"この子"と"そちらの方"は全くの他人の関係でしかありません。
 だからその…… あのようなことをしてはいけないと思ったんです」
 でも結局は欲求に負けてしまったと、ちづるはいやしい自分が恥ずかしかった。
「だがこいつは…… 」
 土方は思い当たる節でもあるのか、目線を右に流しながら呟くも
「……いや、確かに怒り狂ってるようだ」
 烈火ですべて焼き尽くされそうな勢いの怒気を身の内に感じて口をつぐむ。
「この子は泣いています。私の所為で…… 」
 この時代に命が芽生えた時から、ずっと一緒だったもうひとりの自分。彼女の感情は
 そのまま自分の感情でもあった。嬉しいときにははしゃいで、悲しいときは涙し
 愛しい人を想っては心が苦しくなった。ちづるは幼馴染となった平助を傷つけたことも
 自分が原因だと思っているのだった。
「申し訳ないとは思う。だがこれで仕舞いでは気が済まねえ」
「でも歳三さんっ、私たちは」
 土方の意図するところを把握したちづるは、その考えを改めてほしかった。
「ちづる、最後の日に俺は必ずおまえを見つけると約束した。おまえも同じだったと思うが
 これまで140年間もずっとおまえを捜してきた。その間紆余曲折あったが、この時代に
 やっと再び出会うことができた。あの日おまえが願った、羅刹でもなく鬼でもない……
 ただ普通の人間としてな。だが情けねえことに俺はこいつに阻まれて動けずにいた。
 こんな近くにおまえがいるのに、また新しい時代に懸けるしかねえのかって諦めてたら
 こうしておまえに引き出してもらった。……相変わらず世話が焼ける夫だな、俺は」
「そんなことありません! 再会した日にあなたは私を見つけてくださったじゃないですか。
 私が倒れる前からあなたは気づいてここまで運んでくださいました。それに……
 このしるしも忘れずにいてくださって」
 胸に手を添えたちづるは今更ながら恥ずかしくなって、肌蹴た制服のシャツを鷲掴んだ。
「俺が付けたものだからな。受け継がれてきたのか、今のおまえにだけ現れたものなのか
 わからねえが、こうして巡り逢えたのはおまえを悲しませた俺を神さんが許してくれた
 からじゃねえかと、勝手だがそんな気がするんだ。昔できなかった分、ちづる……
 俺はおまえを幸せにしたい」
 言い終えた土方はちづるを抱きしめた。一瞬躊躇ったちづるが彼の胸に寄り添った直後
 突然引き戸が開いた。足音も聞こえなかった為、身体を寄せ合っていた土方とちづるは
 離れるどころか驚く暇もなかった。
「あれぇ? 土方先生じゃないですか。これってどういう状況なんです?」
 胸の前で腕を組んだ男子生徒が、柱に寄りかかって微笑を浮かべている。
「おまえ…… 」
「校内で女子生徒を抱きしめちゃうなんて、バレたら懲戒解雇されちゃいますよ」
 3年生の沖田は表情を変えないまま俯いて歩を進め
「やれやれやっとですか。ホント待ちくたびれましたよ、ねえ…… 」
 立ち止まると徐に振り返り、廊下に向かって呼びかけた。
「はじめ君?」
「お久しぶりです、副長…… 」
 現状を楽しむ沖田と対照的に、保健室の入り口で一礼のまま挨拶をした斎藤の声は
 微かに震えていた。





―【18】へ―







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