カテゴリ

PageNavigation 2.0

Designed by 石津 花

お慕いしております(●´ω`●)

✿✿✿ ✿✿✿         ✿✿✿

リンク

ようこそ♪

プロフィール

みぃ

Author:みぃ
ブログ公開:2012/4/17

この作品に出会えて
本当に良かった。
これからもずっと変わらず
愛してます。(主に副長を♡)

QRコード

QR

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
                        web拍手 by FC2

ちぇりぃ★はぁと【14】


連載【土方 歳三/転生SSL】「桜色の君 想う」転生編
お願い:初めての方はちぇりぃ★はぁと【はじめに】を一読してください。



 親指の反りは残っていたものの 正常な呼吸に戻った生徒に土方は再び声を掛けた。
「校医の先生に診て貰ったほうがいいんだが保健室まで歩けそうか? 無理なら…… 」
 思いがけず優しい口調に それまでとは違う息苦しさがちづるを襲う。
 どのくらい経ったのだろうか。
 自分の所為で皆に迷惑を掛けて申し訳ない気持ちでいたちづるは
 多少不安はあるが このまま教室に居ればクラスメイトの気が散るだろうと思い
 無理をしてでも保健室に行くつもりでいた。
「だいぶ落ち着いたのでひとりで行けます 授業を中断させてしまってすみませんでした」
 そう口にして立ち上がると教室内がゆらりと回る。
 不思議に感じる間もなく流されて行くちづるは逆方向に引っ張られた。
「そんなふらふらしてる奴をひとりで行かせられるわけねえだろ!」
 怒鳴りつけられたことで 初めて自分が眩暈を起こし倒れかけたと知ったちづるは
 同時に 腕を掴んだ大きな手は土方のものだったとわかり再び胸が騒めき始めるが
 それよりも頬に湧き出した熱が彼女を酷く動揺させた。
「ほっ 本当に平気ですから…… 」
 この教師を前にすると何故か異常に緊張してしまう。
 小針で刺したような胸の痛みも こう何度も重なるとただの偶然と思えなくなってくる。
 憶測だが 過去に自分と土方は何処かで関わり合ったのではないだろうか。
 幼い頃の出来事なら 成長と共に記憶が薄れ忘れてしまうことはままある。
 何れにしても奇妙な現状であることには変わりないが それらがすべて自分のみに
 生じているとすれば 見栄えのする教師を前に自意識過剰になっているだけでは……
 ちづるはそう思うと浅ましい自分が恥ずかしくて堪らなかった。
「ちづるったらやせ我慢しないのっ 私が着いてくから  先生いいですか?」
 最初に異変に気づいた女子生徒が 有無を言わせない勢いでちづるの腕を抱え込む。
「ああ 頼む」
 許可が下りて ちづるは女子生徒に支えられながら教室を出て行く。
 引き戸が閉まるのを確認した土方は「始めるぞ」とチョークを手に黒板と向き合った。
 一方平助はちづるが見えなくなっても 後ろに向けた顔を戻さず引き戸を見つめていた。 
 今までの平助なら真っ先にちづるの付き添いに名乗り出るところだったが
 距離を置きたいと自分から関わりを絶った手前 でしゃばるのは許されないと思った。
 それでも苦しむ彼女を見ているだけの状況に耐えられず 席を立とうとした瞬間
 平助はちづると彼女の隣に立つ土方を目にして 着任式の時と同じ感覚に見舞われる。 
 意に反して動かなくなる手足 そして目に見えない何かに怯える自分。
「(くそっ 何なんだよ!)」
 吐き出せない怒りの矛先が向けられたのは古典の教科書。
クシャッ――
 乾いた音に釣られ 何人かの生徒の視線が彷徨った。



 ノックに返事をした山南は 入室する生徒達を見て立ち上がる。 
「おや あなたは…… 」
 その顔に見覚えがあった彼は 介助をしてきた生徒の説明に耳を傾けながら
 ベッドまで誘導して横にするよう促し「ご苦労様でした」と教室に戻らせた後
 デスクに並ぶファイルの内の1冊を手に持ち枕元で広げた。
「2年の雪村ちづる君ですね? 確か着任式があった日に…… 」
 過去の利用カードの束から同じ名前を見つけ文字を指でなぞる。
「はい お世話になりました…… 」 
「今の話によれば過呼吸と…… 土方先生なら授業で走ったり跳んだりはしない…… 」
 ちづるの手を取り状態を見ながら 山南は思案顔で静かに呟く。
「過換気症候群…… 」
 過呼吸すらよくわからないちづるは 更に難しい言葉が出て困惑し唇を引き結ぶ。
「最近何か精神的にショックを受けたのではありませんか?」
「いえ 特には」
 否定すると 新しい利用カードの項目に書き込む手を止めた山南の目が細められ
 ちづるは嘘を見抜かれたような気がして瞼を伏せた。
 山南の質問に仰る通りと頷けば 他の病気の可能性は低いと診断されるだろうが
 それによって今度はカウンセラーとして問い詰められても 身体に起こる異変や
 土方に対する自分の反応などとても口に出せるものではない。
「安心してください 無理に聞き出したりしませんから
 あまり気にせずに…… あなたぐらいの世代には珍しくはないんですよ」
「……はい」
 言いたくない気持ちが表情から読み取れたのか 元より生徒が易々と学校関係者に
 悩み事を教えたりしないとわかっているのか 山南はちづるにそれ以上の追及をやめ
 記入を終えたファイルを閉じる。
「まぁ初めてなら驚いたでしょうし まだ頭もぼんやりしているでしょうから
 ここで少し横になっていきなさい」
 カーテンが閉められ山南が居なくなると 不意にちづるは襟元に窮屈感を覚えた。
 指の強張りが消え普通に動かせると確認した後 彼女はブレザーを脱いでリボンの
 フックを外し、シャツのボタンを二番目まで開けて大きく息を吐き出した。
 2年生に進級してから妙なことばかりだ。
 始まりは同じ夢を見て その度泣きながら目覚める自分。
 同時期に 生まれた時から胸にある痣に感じるようになった痛み。何故かそれは
 他校から転任してきた土方という教師に対して強い反応が現れる。
 不可解な近況に 如何に自分がのほほんと生きてきたかと思う。
 悩みなんてなかった。あるとすれば胸が小さい事くらいだったのに。
「(ペタンでも 平助くんなら笑い飛ばしてくれそうだけど…… )」
 誰を引き合いに出しているのか。ちづるはその人を思い浮かべないように固く目を瞑る。
 程なく 南向きの窓際にあるベッドの上で彼女は眠りに落ちていった。




あと少しです ……さん あなたも早く……




―【15】へ―







関連記事
                        web拍手 by FC2

<< わるいおとな | ホーム | 願い事 >>


 BLOG TOP 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。