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みぃ

Author:みぃ
ブログ公開:2012/4/17

この作品に出会えて
本当に良かった。
これからもずっと変わらず
愛してます。(主に副長を♡)

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甘いお裾分け


【沖田 総司/SSL】




「どうぞ…… 散らかってますけど」
 彼女はそう言って 学校帰り一緒に着いて来た僕を自宅へと招いてくれる。
 気のせいかな? 鈴のような声が少し震えて聞こえた。
「お邪魔しま~す」
 あんな風に言ってたけど この家で亡くなった母親の代わりをしている彼女が
 乱雑のままにしている筈も無く 通されたリビングは視力のいい僕が眺めても
 うっかりを見つける事もできないくらい綺麗で整頓されている。
「飲み物お持ちしますから お好きなトコに座っててくださいね」
「うん ありがと」
 早足でキッチンへと行く彼女が見えなくなると 僕は座布団に腰を下ろした。
 医師をしている父親の好みだろうか。畳に座卓と和風テイストだ。
 あと此処には……
「ちづるちゃん? 今日は"お兄ちゃん"は居ないの?」
 いつもSPのように妹を守っている双子の兄の姿が
 下校時にも見当たらなかったのを僕は今頃不思議に思った。
「薫 風紀委員で会議があるそうなんですー」
 手が離せないのか 奥から大きな声で答える。
 そう言えばはじめ君もそんな事言ってたっけ。部活が休みの分僕らが早いだけなんだ。
 思いながら 窓の障子にオレンジ色の光が映ってるのをぼんやり眺めた。
「お待たせしました」
 笑顔の彼女と共に 柔らかないい香りが漂ってきた。
「どうぞ…… でもホントにお茶で良かったんですか?」
 湯呑が乗った茶托をこつんと僕の前に置いて お盆を抱きしめながら聞いてくる。
「うん キミのなら美味しいから」

 珍しく時間が開いた放課後。
 デートして帰らない?と誘った僕に 彼女は緊張した面持ちで黙り込むと俯いて
 自分の家に来てくれないかと蚊の鳴くような声で言った。そう聞いて何故か僕が
 面喰ってしまったのは これが彼女の家への初めての"お宅訪問"だったからだと思う。
 柄にもない…… 。 
 飲み物が無いからコンビニに寄ると言う。その時 そろそろ冬も近いのかと
 思えるような冷たい風が首筋を撫でたからかもしれない。
「暖かいものならコーヒーとかの方が良かったんじゃ…… 」
「ニガいのはキライなの 砂糖たっぷり入れればいいってものでもないし」
 手の平に熱いくらいの温もりを感じながら 僕は緑茶を啜る。
「お茶の渋みは平気なんですか?」
 意外だと正直に顔に出して聞かれて 何となく子供扱いされた気分。
「部室でキミが淹れてくれるじゃない? きっかけは副顧問の土方先生の為でさ
 それがいつの間にか 練習中はスポーツドリンクガブ飲みの部員達が着替えた後に
 あったかいお茶を飲んで帰るようになって…… 僕はそれまで飲んだ事なかったけど 
 そんなに?って思ってひと口飲んだら 嫌な渋さが全然なかったんだよね」
 それどころか無意識にほっとする自分が不思議だった。
「あの時沖田先輩に美味しいねって言ってもらえて嬉しかったです」
「あの後暫くしてから僕が付き合ってくれる? って言った時は?」
「え!? あぅ も…… もっと嬉しかったです…… 」
 手に持ったままのお盆で顔を隠すけど 真っ赤な耳は見えてるよ。
 そんな反応されたらさ……
「あ! 肝心な事を忘れるところでした!」
「え?」
 彼女はすっくと立ち上がって またキッチンへと行ってしまう。 
 中途半端に差し出し置いていかれた 空に浮く右手を僕は虚しく見つめた。
「沖田先輩っ "Trick or Treat"! です♪」
 嬉しそうに叫んで 彼女は僕の前にそれを置いた。
「え…… かぼちゃ?」
 ちっちゃいけど色といい形といいかぼちゃにしか見えない。でも目と鼻と口がある。
 あるというかくりぬかれた状態なんだけど。
「今日は"ハロウィン"なのでっ かぼちゃでプリンを作ってみました!」
 興奮気味の彼女が かぼちゃの蔓の部分を摘まんで持ち上げたら蓋のように開いた。
 覗いてみると中身もくりぬいてあって そこに入っている黄色いカップを取り出し
 スプーンを添えて僕に渡してくる。
「へぇ~ 手作りなの? 器用だね」
 いただきますと言って掬ったスプーンを口に運んだ。
「うんっ 濃厚だけどくどくないし滑らかで美味しいよ」
「……甘すぎませんでしたか?」
 砂糖の分量を思い出してか 上目遣いで不安そうに問い掛けられる。
「土方さんやはじめ君は涙目で食べるレベルだろうけど 僕には丁度いい甘さだよ」
 お世辞では無くそう答えると 怖々としていた顔に一瞬で花が咲いた。
「でもハロウィンのかぼちゃって 何となくオレンジのを想像するんだけど」
「そっ そうですよね でもあのかぼちゃはどちらかと言うと鑑賞用なので」
「そうなんだ アレ美味しくないんだね で? その手のカットバンはこれの所為?」
 僕は小さなかぼちゃを手に乗せて ちょっと歪にくりぬかれた"口"を指した。
「あ 彫刻刀使ったの久し振りで……
 生ものなので学校へは持って行けないから一度は諦めたんです
 でも今日は部活が休みで先輩も予定が無いようだし わざわざ家まで来ていただくのは
 悪いなと思ったんですが 食べてもえらえて嬉しかったです」
 恥ずかしそうに手を隠しながら微笑まれて こっちまで照れてきちゃう。
 ……ホント柄にもない。

 僕の為に作ってくれた……………… 
 なにこれ? なんかむずむずしてくるんだけど。
「はいっ ちづるちゃん」
「え?」
 プリンを掬ったスプーンを急に差し出されて 彼女は大きな目を更に見開くと
 瞼をパチパチとさせながら 僕とプリンを交互に見比べる。
 此処に来てから 僕らしくない僕に気付かされてなんか無性に悔しくなって
 意地悪したい気分になっちゃったんだよね。
「美味しいからお裾分け♪」
 僕が食べて口をつけたスプーン。
 彼女にはまだハードルが高くて躊躇するに違いない。そして思った通り
 泣きそうな顔で 見る見る真っ赤になっていく様子に僕も満足して
 なぁ~んてねと引っ込めようとした時 持っていたスプーンに振動が伝わった。
「(え?)」
 カチッと聞こえたのは 勢い良く喰らいついた彼女の歯がスプーンに当たった音。
「だっ 大丈夫!? ちづるちゃんっ」
 プリンを口に入れると急に畳に顔を伏せたから 痛かったんじゃないかと思って
 僕も同じように畳に頬を付けて彼女の横顔から声を掛けた。
「だ 大丈夫です…… 」
「ならなんでそんななの?」
「はず…… せん……ぃから」
「え? なに?」
「恥ずかしくてっ 先輩の顔を見られないからです!」
 ちょっと待って。それ凄く可愛いんだけど。寧ろ可愛すぎてどうしていいか
 分からなくなってる自分に 僕はもう噴き出すしかなかった。 
「ぷっ あ ごめん でも あははっ」
 彼女は自分が笑われていると思ったのかその内ぷるぷると震えだした。
「ごめんね キミを笑ったんじゃないから ほら顔上げて?」
 至って真面目な声でそう言うと 漸く彼女はそろそろと顔を上げ始めた。
「沖田先輩は意地悪です…… 」
 恨めしそうに口にして僕を見ないから 結構怒らせちゃったみたい。
「なんだバレてたんだ ならどうして…… 」
「試されてるんだと思いました だから怯むわけにはいかなかったんです」
 この子は普段は綿菓子みたいにふわふわとしてる癖に 時々こんな風に強さを見せて
 その度僕をドキっとさせる。今もそう。悔しい。そんな子は今まで居なかった。
「ん~ せっかくの告白も口元にプリン付けたままじゃ ちょっと残念かなぁ」
「え!?」
 慌てて拭おうとする手を取り押さえた。
   
 ペロッ

「!?!?!?!?!?!?!?っ おっ おおおおおおおおおきおきっ」
「ん♪ こっちの方がプリンよりもっとあまい❤」
 一応年上だし 彼女の初めて付き合う彼って事で余裕を見せとかないと。 って
 思ったんだけど…… 胸が勝手に逸り出す。"余裕"ってなんだっけ??
「もっと甘いの…… 欲しくない? ちづるちゃん」
「えっ あの…… んぅ!?」
 返事は待てなかった。ただ合わせるだけのつもりで。最初は。
「(ちゅ) はぁっ おき(くちゅ) ふっ」
「好きだよちづるちゃん (ちゅちゅっ) はぁ…… (ちゅるちゅ)」
 腕にある彼女の手が僕を押し退けたらやめようと思った。でもその手は
 離れないようにしっかり握りしめてきたから 僕も止められなかったんだ。
 強引にちづるの中に舌を滑り込ませると 一瞬びくりと身体を強張らせたけど
 彼女は拒む事はなかった。初めての舌先からは どうしたらいいのかと戸惑いながらも
 僕に応えようとするのが感じられて 堪らなく愛しくなる。
 でも此処は彼女の家だしリビングだし もしかしたら"お兄ちゃん"が帰ってくるかも
 しれないし 何より飛ばし過ぎて嫌われたら嫌だからこれ以上はダメだと思った僕は
 まだそんな理性が残っている内にと 名残惜しみつつその唇を放した。
「……怖かった?」
 とても目を合わせられないのか 彼女は俯いたままふるふると頭を振る。
「沖田先輩だから…… 」
 短い言葉なのに抱きしめずにはいられなくて。なんていうか完全に負けたって感じ。
 この沖田総司が骨抜きにされるなんて 土方さんにだけは絶対知られたくない。 

 かぼちゃプリンの残りを食べながらふと思い出す。
「良く考えたら お菓子をあげてない僕の方がキミに意地悪しちゃったね」
 お茶のお代わりを淹れてくれてる彼女が ピンとこない様子で僕を見る。
「Trick or Treatって言われたら お菓子をあげないとダメなんでしょ?」
 理解した彼女は ああ~と頷いて笑む。
「ふふ でもするのは"いたずら"で "意地悪"じゃないですよ?」
「あ そっか そうだよね」
 どっちの方が酷いのかな? なんて思いながら再び甘くなった咽を潤す。
「でも私は沖田先輩にされるなら いたずらでも意地悪でも構いませんけど」
 言い終った途端 その言葉は恥ずかしいものだと気付いて彼女は口を隠した。
「………… ねぇ "お兄ちゃん"に『どうしても駅弁が食べたいから学校帰りに
 東京駅のセントラルストリートにあるお店で買って来て❤』ってメールして」
「え? 何でですか?」
「当分家に帰って来られないじゃない」
「だからそうする意味が分から きゃ!?」
 ホントにこういうところは鈍いんだからなぁ 僕の彼女さんは。
 呆れて説明するのも面倒で 代わりに思いっきり抱きしめる。
 大丈夫。僕の理性はまだ残ってる







 はず。





― END ―








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