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みぃ

Author:みぃ
ブログ公開:2012/4/17

この作品に出会えて
本当に良かった。
これからもずっと変わらず
愛してます。(主に副長を♡)

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うそつきな唇


【ちづる/転生パラレル】
「そして僕は嘘をつく」ちづる編



『ちづるはねぇ としぞうにいさんがいちばんすきっ』
 この中で誰が一番かと聞かれる度に 幼稚園児だった私は照れもせずそう言い
 隣で困ったように微笑む末の兄に抱きついたものだ。
 末と言ってもその頃の歳三兄さんはもう高校生で 私とは随分年が離れている。
 だからもっと上の兄姉とは 見ようによっては親子と間違われたりもした。
 物心ついた頃 自分と周りの友達との違いに気づき 母にその疑問をぶつけると
 父は私が生まれる前に亡くなったと教えてくれた。一方母は末っ子の私にとって
 若いお母さんとは言えなかったが それでも町内一の美人と有名だった…… 
 その母も今から3年前に病気で亡くなった。
 あの時は悲しくてどうにかなりそうだったけど 兄さんや姉さん達が慰めてくれて
 改めて自分は家族に愛され育てて貰ったんだと思うと 段々気持ちが落ちついてきた。
 それに涙が止まらない私を歳三兄さんが抱きしめてくれたから。
 歳三兄さんは周りから見たら過剰では? と思われる程私を溺愛していたらしく
 その所為か兄姉の中でも私はこの兄に一番懐いていた。子供は一緒に遊んでくれる人を
 好きになるのは当たり前だけど 歳三兄さんは成績も全国でトップクラスに入るくらい
 頭が良く機転も利いて 何より美人な母の血を色濃く受け継ぎ端整な顔立ちだったから
 私にとって何もかもが自慢の兄だったのだ。
『そうかっ ちづるはトシのお嫁さんになるのか!』
 大きい兄さんの言葉に『うん!』と満面の笑みで答えれば 広い座敷に笑い声が響いた。
 邪気のない幼子の素直な様子に 母も兄姉達も微笑ましく思ったのだろう……
 でも私はいつだって自分が本気だったことに気づく。
 本気で愛していた。
 この身体に流れているものと同じ血を持つ兄を…… 。


 少し寒さを感じてきて 持って出たダウンのコートを羽織る。
 受験が終わったら 何処でも好きな所に連れて行ってあげると言ってくれた総司さんは
 この日約束通り自宅に迎えに来てくれた。その時出勤しようと玄関にいた歳三兄さんと
 話があるから車で待つよう鍵を渡され 私は言われた通り助手席で待っていた。 
 話って…… なんだろう。何故か不安な気持ちが湧いて来る。
 総司さんは 歳三兄さんが教師をしている私の母校でもある高校の卒業生という以前に
 ご近所さん故に子供の頃から我が家とは家族ぐるみで親しかったらしく 歳三兄さんとは
 私よりずっとつき合いが長いから たまに会った時には色々話もあるんだろうけど。
 でも玄関での総司さん…… 歳三兄さんも何か様子がおかしかった気がした。
『ちづる! 俺とおまえはなっ…… 』
 あの時 歳三兄さんは何を言うつもりだったんだろう。そして総司さんはどうして
 言葉を遮ったのか。考えてもわからないけど気になって仕方がない。かと言って
 総司さんに聞いてもきっと教えてはくれないだろう。いつものようにのらりくらりと
 はぐらかし 笑っていない笑顔で私が諦めるのを待つ。その時の総司さんは少し怖い。
 卒業してから何年も経つのに"沖田総司"という人は 未だ校内で話題にのぼる程
 伝説と化していた。茶髪にピアスとあまり真面目には見えない外見で 決まった彼女を
 作らず毎日女の子を取っ替え引っ替えしていて おまけに度々の遅刻に授業のさぼり
 加えて喧嘩っ早く 相手は必ず病院行きになるし 時々5歳児かと思うような悪戯を
 教師にまで仕掛けて面白がっていたどうしようもない生徒だったらしいが 成績は
 そんな風なのに何故? と首を傾げるほど優秀で 常に上位に名前があったという。
 何よりその名を知らしめたのは インターハイ3年連続優勝の実績を持つ剣道の腕前。 
 喧嘩や剣道が強いことや頭がいいのは 私も小さい頃から見たり教えて貰ったりしたから
 知っていたが 同じ剣道部だった平助くんに女の子の話を聞いた時はちょっと驚いた。 
 沖田のおばさんとうちの母は凄く仲が良かったけど 総司兄さんは女好きだとか
 自宅に連れてきたとか聞いてなかったから。私には前から会う度『僕が好きなのは
 ちづるちゃんキミだけだよ』と言ってて それは挨拶みたいなものだろうと思いつつ
 意地悪で有名だったカッコいい総司兄さんが私にだけは優しくて 幼い頃はちょっと
 いい気分だった。でも私も成長していく内に 総司兄さんのそれは愛情というより
 執着のように感じた。根拠はなかったけど…… 。でも彼からの交際の申し出を
 断ったのはそれらが理由じゃなく 私の歳三兄さんに対する気持ちをどうしても
 捨てられないから。そんな感情を持つのは駄目だとわかってる。異常なことなんだと
 自覚はある…… だから質が悪い。
 引き寄せられてしまうのにどう抗えばいいのか 方法があるなら教えて欲しい。
 ……やっぱり聞きたくない。知りたくない。
 間違いだと言われても無意味なものだとしても 名前を口にするだけで泣きたくなるほど
 この想いは真実なのだから。
「歳三兄さん…… 」
 込み上げてくるものを留めるよう喉元をコートの襟ごと鷲掴んだ時
 運転席側のドアが開いた。



 少しくたびれた革靴を玄関で見つけらなくて 安堵した自分に溜め息を吐く。
 帰っているような時間じゃないとわかっていても 引き戸にあてた手が震えていた。
 門の前で車を降りた私はお茶でも飲んでってと総司兄さんに声を掛けたけど 彼は
 明日も早いからと言い 右手を詫びるように顔の前に立てて車を発進させた。
 映画もショッピングも楽しかったのに 台所の椅子に腰を下ろした瞬間疲労感が襲う。
 今まで机に向かってばかりいた所為か 歩き通しで結構足にキタみたい。
 まだ18才だというのにどうなのコレ? と情けなくなるも 慣れないヒールだったのが
 一番の原因だろうと自分を慰めて さてお風呂でもと思った時だった。
 インターホンも設置していない玄関前から 引き戸を叩く音と人の声が聞こえて来た。
 歳三兄さんならいつも自分で鍵を開けて入ってくる筈。遅くまで家でひとりきりの私に
 危険が及ばないようにとの対策だ。だから夜は来訪者が例え近所の人だったとしても
 決して出るなときつく言われていたのだが 私の名前を呼ぶ声には聞き覚えがあって
 台所を飛び出すと玄関めがけて廊下を走り 急いで解錠し戸を開けた。 
「よぅっ ちづる」
「やっぱり原田先生っ と…… 歳三兄さん!?」
 名前を叫んでも返事はない。兄さんは原田先生に寄り掛かるように全身を預け
 顔は俯いたままで見えない。私は具合を悪くして倒れたのだと思い身を縮まらせた。
「安心しろちづる ただの"酔っ払い"だ」
「えっ?」
 心配させないようにか 原田先生はいたずらっ子のように眉を上げて笑う。
「取り敢えず家ン中に入っていいか?」
「あっ はい! お願いしますっ」 
 私が兄さんの革靴を脱がせると 原田先生は「いつ来てもでけえ家だな」と言いながら
 肩に兄を抱え ずるずると奥へ引きずって行く。
 ふたりの背中を眺めていた私ははたと我に返り スリッパも忘れて追いかけた。
 居間の畳に座布団を数枚並べ横にさせると ほわりとお酒の匂いが漂ってくる。
 ブランケットを持って来た私は 靴下を脱がせネクタイを外し襟を寛げた兄に掛けた。
「ここでいいのか? 入っても構わねえなら土方さんの部屋まで運ぶぞ?」
「二階だから大変なので…… 目が覚めたら私が部屋に連れて行きます
 すみません 先生にはご迷惑をおかけしてしまって…… 」
「いや今日はな 珍しく土方さんから誘われてよ」
 モッズコートを脱いだ原田先生にコーヒーを差し出すと悪ぃなと飲み始める。 
「歳三兄さんから? 飲めないのにどうして…… 」
 下戸なのにわざわざ人を誘ってまで行くなんて。不自然な行動に私は首を傾げた。
「それも土方さんのデスクにはまだ山のように書類が残ってるのにだぜ? こりゃ何か
 余程のことがあったんじゃねえかと思って 俺は飲む振りしながら様子を窺ってたんだが
 そんな俺に気づきもしねえでぐいぐい飲んでてよ 何かあったのかって聞いてみても
 黙ってるし でも段々酔いが回ってきたんだろうな その内総司がちづるにどうのって
 言い始めたんだが 土方さん呂律が回らなくなってて俺よく聞き取れなくてよ 
 総司がちづるに何かしたのか? って言った時には もう夢ン中に行っちまってたんだ」
 その話を聞いて 総司兄さんの言った通りだったんだと落胆した。
「私 総司にぃ…… 総司さんに結婚を前提に交際を申し込まれたんです」
 家の近くまで帰って来た時 やっぱり話してなかったんだねと言う総司兄さんに
 何のことかと見当がつかず問い掛けてみると 私にプロポーズしたことを歳三兄さんに
 報告したと言われ 知られたくなくて内緒にしていた私は当惑した。
「ほぉ じゃあ歳の離れた可愛い妹が男に盗られそうで兄貴は面白くねえってトコか
 で? その暗え顔は総司との交際を土方さんに反対されたからか?」
「いえ 総司さんにはその場でお断りしたので 私からは兄さんに話していないんです  
 何年か先の話だとしても 今の私は大学のことで頭が一杯で他のことを考る余裕ないし
 総司さんをずっと兄のように思っていたので そんな気持ちになれなくて…… 」
 私の耳にカチャっと陶器のぶつかる音が聞こえ 俯いていた顔を上げると 
 原田先生がコーヒーカップを座卓のソーサーに戻して 腕組みをするところだった。
「総司のこった 諦めねえだろう ずっとおまえを気に入ってたしな なぁちづる……
 何にしたってお前の思う通りにしていいんだぜ? でなきゃ幸せになれねえぞ?」
「原田先生…… 」
 教師というより頼れる先輩といった感じの原田先生は この時もいつもと変わらない
 ほっとする穏やかな表情で励ましてくれる。実際勤務している学園の卒業生だから
 そこに通う私の先輩で間違いはないんだけど。
「そいつにはおまえの気持ち…… 言ってねえのか?」
「え?」
 突然の問い掛けに頭が回らなかった。
「いるんだろ? 好きな男が」
 原田先生の勘が鋭いのか それとも私の気持ちが顔に出ていたのか。言い当てられて
 否定する余裕もなかった私は 勝手に熱くなる頬を隠すだけで精一杯だった。 
「まだ若えし焦る必要はねえが もしかしたらそいつもおまえを想ってるかもしれねえぞ?
 まあ男ならそっちから来い! ってもんだがな」
「それは天地がひっくり返っても有り得ません…… 」
 寧ろ歳三兄さんに異性として好きだと言われたら 私は自分を棚の一番上に上げて
 逆に兄さんを心配するだろう。
「なに尻込みしてんだっ おまえは充分可愛いし料理は美味いし気が利くいい女だぜ?
 でもこの土方さんの妹だからな 相手の男は大変だろうけどよっ それくらいおまえを
 心配してるってことなんだから あんまり兄ちゃんを嫌ってやるなよ?」
 本人を目の前にして言いたい放題な原田先生だけど その言葉の中には優しさが
 含まれているから生徒達の間でも絶大の人気があるんだと思う。
「じゃあ俺行くワ」腰を上げた原田先生にお礼を言い 来た時と帰りの分のタクシー代を
 渡そうとしたら もう土方さんに貰ってあるからと受け取らなかった。見送りはせずに
 自分が出たらすぐ玄関の鍵を掛けるよう言われ 私はその通りにした。


 居間に戻り 赤ら顔で寝ている歳三兄さんの脇に座る。
「面白くないの? 私に彼氏ができること…… 」
 悲しいかなそれは私が"妹"だから。でも"妹"だから今までこの人の傍にいられた。
 けど気持ちを伝えることもできないのはやっぱりつらい。
「自分なんかお見合いするくせに…… 」
 兄さんの顔を覗いてみる。
 ふと 記憶すらない思い出が浮かぶ。
 漸くひとりで座れるようになった頃 私はこの瞼の奥にある紫の瞳に異常に関心を示し
 よく兄さんの目に向かって手を伸ばしていたらしい。勿論兄さんは自分に迫り来る危機に
 他の物で私の気を逸らしていたが ある日寝かしつけようと添い寝して うっかり自分も
 本当に寝てしまい 結果痛みで目が覚めたという。
「あの時はごめんね兄さん 覚えてないけど」
 幸い瞼を掴んだだけで眼球には触れず 大事には至らなかったが 乳児の力は
 まだ加減を知らない故に思ったより強く 爪も薄い為皮膚にしっかり食い込んだらしい。
 兄姉達が集まると必ずその話で盛り上がり 私は身に覚えがなくても肩身が狭かった。
 赤ん坊だった私はどうしても欲しかったのだろう 魅力的なその瞳を。
 状況は違えど 今もあの紫の瞳は瞼に遮られて見えない。それでも引きつけられる。
 お願い。どうか目覚めないで……
 仰向けのまま眠る兄を私は見下ろした。心臓が激しく跳ね上がってうるさいくらいの
 鼓動の音で兄さんが起きてしまうんじゃないかと冷や冷やしながら。
「歳三…… 兄さん…… 」
 触れた唇にお酒の味がしたのは気のせいだろう それくらい一瞬で離れたのだから。
 無意識に止めていた息を静かにゆっくり吐き出して 次の吸息をしようとした刹那。
 私の身体に何かが絡んできて痛い程締めつけられた。
 え? っと思う間もなく視界が反転して背中が畳に当たる。身体が動かない…… 違う
 大きな力で上から押さえられていて動かせなかった。まるで金縛りに合ったように
 目だけきょろきょろと巡らせると 見慣れた漆黒髪が顔のすぐ脇に見え頬を擽っていた。
「(兄さん? なんだ…… 寝ぼけているんだ)」
 キスを盗んだとばれた訳ではないとわかりほっとした瞬間―――
「っ!?!?!?」
 首筋に何かが触れてぞくりと全身が震えた。
 温かさを感じるそれは 私の肌についたり離れたりした後思いきり吸いついてくる。
 ちりっと痛みが走って身体が強張るのを感じたのか 今度は優しく舐めてきた。
「んっ ふっ」
 繰り返される首筋での接触に自分の知らない声が漏れる。それは発してはいけない
 気がして必死で我慢した。でも身体の中から湧き上がってくるうずうずとした感覚は
 自分ではどうにもコントロールできない。このまま飲み込まれそうで怖い…… 。
 首に執着していたそれは 肌から離れることなく私の耳へと這い艶めかしく噛み始めた。
「あ んんっ」
 何故こうも感じてしまうのか。私が知らない私を"それ"は知り尽くしているかのよう。
 意識が朦朧としてくる中 別のところに触れた冷たい感触で私は一気に覚醒した。
 手がフレアスカートの中に入ってる。裾をたくし上げて弄られ 私は考えるより早く
 身を攀じった。でも動けない。そうこうしている内に冷たい手はショーツに届いた。
「歳三兄さん!!」
 私はありったけの声で叫んだ。すると手は止まり 首に埋もれていた顔が持ち上がる。
 私の大好きな紫の瞳が大きく見開かれ 微かに揺れているように見えた。
 歳三兄さんだった。さっきまでの唇も手も兄さんのものだった。
 見つめ合っていたのは本の一呼吸分だったかもしれない。形のいい唇が薄く開いた。
「ああ…… 間違えた」
 冷たい目をして感情が感じられない口調でそう呟くと 兄さんは私の上から退いて
 居間から出て行ってしまう。
 マチガエタ…… 間違えた?          





 誰と?





 目の前に見える天井板がじわじわと歪んできた時
 二階で乱暴にドアを閉める音がした。







― END ―






※物語の中での養子縁組のシステムは実際のものとは異なっています。
 誠に勝手なお願いではございますが ご了承して頂けると助かります。スミマセン><



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