カテゴリ

PageNavigation 2.0

Designed by 石津 花

お慕いしております(●´ω`●)

✿✿✿ ✿✿✿         ✿✿✿

リンク

ようこそ♪

プロフィール

みぃ

Author:みぃ
ブログ公開:2012/4/17

この作品に出会えて
本当に良かった。
これからもずっと変わらず
愛してます。(主に副長を♡)

QRコード

QR

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
                        web拍手 by FC2

ちぇりぃ★はぁと【9】


連載【土方 歳三/転生SSL】「桜色の君 想う」転生編
お願い:初めての方はちぇりぃ★はぁと【はじめに】を一読してください。




「ああぁ? 誰だ てめぇ…… 」
 ちづるの腕を掴む男子生徒は猫なで声から一変 苛ついた口調で振り向いた。
 出入口を固める仲間の二人は 目前に現れた人物に立ち竦む。
 そして振り向いた生徒も 自分達と同じ格好をしたその男子を目にして叫んだ。
「げっ! おまっ 1組の おっ 沖田っ!?」
 そう呼ばれた男子は 一見穏やかな微笑を浮かべているように見えたが
 目尻を少し上げた翡翠色の目は ぞくりとする程冷ややかだ。
「いっけないんだぁ…… センセーに言っちゃうよ?」
 沖田が楽しそうに口にして こちらも上履きを潰した足を奥に進めると
「おいっ やべえよ!」出入口の二人は自分達だけでそそくさと出て行った。
 ちづるの腕を掴んでいた男子生徒も 捨てるようにその手を放し
 沖田の横を怖々と怯えながら通り過ぎようとしたその瞬間
「今度この子に近づいたら…… 殺すよ?
 いつの間に手に取ったのか。
 沖田は男子生徒のだらしなく下がっている臙脂色のネクタイを引っ張り寄せて
 彼の耳元で殺気を含ませ静かに囁いた。
 置いてけぼりを食った男子生徒は その手が緩む前からバタバタとその場で足を走らせ
 無言のままコクコクと頷き 放されると命からがらと言う風に逃げて行った。
「(たっ 助かったぁ…… )」
 自分を襲おうとした生徒達が居なくなり ちづるはホッとしてへたり込んだ。
「キミ…… 」
 声を掛けられて我に返ったちづるは 床に向かって深々と頭を下げて礼を言う。
「助けてくださってありがとうございました!! あのぉ…… 」
 なんと呼んだらいいのか 迷っている様子のちづるに
「僕は3年の沖田総司と言います」
 彼女より一学年上の沖田は丁寧に答えてくれた。 
「おきた先輩…… 」改めて聞くと何処かで聞いた名前のような……
 ちづるは目線を左側に寄せて記憶を辿る。「あ!」恐怖が去り新たな戦慄が走った。
「ん? 思い出した? 僕の事 ふふふ…… 」
 何か含んだ笑顔で近づいてきた男子は 噂で聞いた事のある人物だった。

     "ドSの沖田" 或いは"悪魔の総司"

 彼の手に掛かった者は再起不能になるとかならないとか。
 そんな噂があっても かなり整った容姿の持ち主の彼を好む女子は相当多いのだが
 彼の周りには近寄りがたいオーラが漂っていて 殆どの子が遠巻きに見ている状態だ。
 ちづるは再び自分が窮地に追い込まれたと思い身を震わせた。
「(ちょっと待ってよぉ こんな事って…… )」
 半べそのちづるの顔を覗き込んで沖田は続ける。 
「僕はキミを知ってるよ…… 雪村ちづるちゃん」
「私の名前…… どうして?」
 力の抜けたちづるの前に手が差し伸べられて 躊躇いながらもその手を取ると
 沖田は彼女を立たせ 瞬時 掴んだ手を引き寄せた。
「え?」
 気が付けば ちづるは初対面の彼に抱きしめられていた。
 驚き腕の中から逃げようともがき始めた時
「キミを知ってる  とっても よぉくね…… 」
 聞こえてきた声に見上げた沖田から悪戯な笑顔は消え 酷く悲しげに笑んでいた。
 そして優しく包む腕の感触が まるで両親のそれのような慈愛に満ちている気がして
 不思議と嫌な気持ちは沸いてこないちづるだった。 
 



 土方が職員玄関へと入って行くのを見届けた斎藤は 揉め事の原因を問い掛ける。 
「どうしたんだ? あんたらしくも無い」
「ちづるが…… 」
 平助はそれだけ言い黙ってしまう。
「ちづ…… 雪村がどうかしたのか?」
 斎藤の言葉は何処か焦ったように聞こえたが 今の平助にはそれに気付かない。
 平助自身 さっきの自分は確かに変だったと思い困惑していた。 
 それでも言い出さずにはいられなかった心情をぽつりと呟く。
「着任式で あいつに体育館から連れ出されたあと様子がおかしくて…… 」
「その時 土方先生が雪村に何かしたと?」
 斎藤は特に表情を変えず 平助が避けている言葉を敢えて口にした。
「さっきもあいつがオレ達に近づこうとした時 ちづるは走って逃げたんだ!!」
 そう叫んで平助は校舎に目を向ける。
「土方先生は教鞭を執られて10年とまだお若いが 教師として優秀で評判が高いと聞く
 近藤学園長先生が直々に以前勤めていた高校へ引き抜きに出向かれたそうだ」
「じゃあ何でちづるはっ」
「あの方はそのような人ではない!」
 平助は息を飲んで瞠目した。
 斎藤が剣道の試合以外で声を荒げるのを この時初めて聞いた。
「さ 斎藤先輩…… なんで そんなに…… 」
「とにかく そんな状態だったのなら雪村の所在を確認した方がいいんじゃないか?」
 斎藤らしからぬ態度に驚くも 一番に考えるべき事を気付かされる。
「!? そうだ! 何やってんだオレっ」
 土方を敵視する事で頭がいっぱいで ちづるを追いかけなかった自分を
 許せないと思った平助は 形相を変えて地面を蹴り上げ走り出した。 
「これは…… 存外早くに目覚めるか?」
 何も恐れずに闇雲に飛んで行く後輩に 今後起こりうる残酷な出来事を思うと
 斎藤はその後ろ姿に同情の眼差しを向けずにはいられなかった。
「すまんな平助…… 」
 呟いた後 制服の隅でブルブルと震えるそれを手に取った。
 如何にも差し出し人らしく やたらと絵文字を入れた複雑な文面を眺め 
 溜め息と共にやれやれとした顔をして 斎藤は眼前に垂れる前髪を掻揚げた。
「あんたに任せる」
 独り言を言い 飾りひとつも無い物をするりと元の場所に納めた。


 嫌な予感の通り ちづるは教室に居いなかった。
 いつも机の脇に下がっている彼女のバッグも見当たらず 平助は焦りの色を濃くした。
 捜すと言ってもその場所が思いつかない平助は ちづると繋がる代物をやっと思い出す。
「そうだっ ケータイ!!」
 制服のポケットから ジャラっと数種の根付けストラップが付いたそれを引き出すと
 ふたつに畳まれたものを折れそうな勢いで跳ね上げる。
「あ!?」
 彼は届いていたメールを開いて 益々自分を腹立たしく思う。
 この頃気分が出ず 着信音とバイブ機能をoffにしていたのを激しく後悔した。
「っくそ!!」
 平助はそこに記された場所に向かって 風神の如く斬り込んで行った。






―【10】へ ―



関連記事
                        web拍手 by FC2

<< そして僕は嘘をつく | ホーム | 浴衣と花火 >>


 BLOG TOP 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。