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みぃ

Author:みぃ
ブログ公開:2012/4/17

この作品に出会えて
本当に良かった。
これからもずっと変わらず
愛してます。(主に副長を♡)

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ちぇりぃ★はぁと【4】


連載【土方 歳三/転生SSL】「桜色の君 想う」転生編
お願い:初めての方はちぇりぃ★はぁと【はじめに】を一読してください。




「ああっ ちきしょうっ」
 悪態をついて机の上にエナメルバッグを置き イスに身を投げ出すように座った平助は
 朝のHRの時間に担任が来ないのをいい事に "昼食用"の焼きそばパンに噛みついた。
「あの後…… 何かあったの?」と心配そうに尋ねるも
「うっ ……言えねぇっ 聞かないでくれ!」
「(すごく気になるンだけど)」
 青くした顔を机に伏せて隠し震える彼に ちづるはそれ以上聞けなかった。
「なぁ なんでセンセーいねぇの?」
 平助は手の物をペロリと平らげて 今度はスパゲッティサンドの包みを破く。
「今日の着任式の進行担当だからじゃ無い? ってそんな事より!」
 かわいい顔を無理にしかめてちづるが詰め寄る。
「っンぐ!?」
 平助は「(俺また何かやったのか!?)」と戦き パンを喉に詰まらせそうになる。
「今そんなに食べちゃって…… だからってお昼に私のお弁当あげないからねっ」
 結局詰まらせたパンを胃に落とそうと 平助はバンバン胸を叩きながら
「ゴフッ はっ! な なんだよぉ いいじゃん ちょっとくらい…… 」
 やっと話せるようになると 叱られた幼子のように拗ねて口を尖らせる。
「そう言ってこの間も全部食べちゃったじゃない!」
 余程腹に据えかねるのか ちづるは平助の机に両手を付けて身を乗り出し訴える。
「代わりに焼きそばパンやったろ?」
 それを避けるように 平助は顔だけグラウンドが見える南に面した窓へと逸らす。
「せっかく早起きして作ってるのにっ(今日はお母さんのだけど)」
「だってさぁ マジ美味いンだもんっ ちづるの手作り弁当!」
 顔をくしゃっと緩めて嬉しそうに言う平助に ちづるはいつも負けてしまう。
「(憎めないと言うか)」
 元気の良さと その愛敬を持った人懐っこさ。
 小柄ながらも剣道の腕前は可成りなもので 試合時の真剣な凛々しさも加わって
 平助には男女問わず大勢のファンがいたりする。
 なのに何故自分にくっついてくるのか ちづるは不思議だった。
 よく女の子達に『付き合ってるンですか!?』と詰め寄られるが
 答えは毎回同じ『私は平助くんの彼女じゃないです』。
 一緒にいれば楽しいし 頼もしい所もある彼なのだが
 平助から好きだと告白された事は今まで一度も無いし そうされても正直困る。
 ちづるの中の"平助"の立ち位置は[恋人]の場所では無かった。
「(付き合ったらきっと大事にしてくれそうだよね  でも…… )」
 彼では無い。と思う。
 この確信めいたものは何処からくるものなのか ちづるにも分からなかった。

「さぁ そろそろ体育館に移動を始めてくれ!」
 やっと顔を出した担任が 騒がしい教室内に負けじと大声で叫んだ。
 生徒達は面倒くさそうに席から立ち上がり 不平を口にしながらのろのろと流れて行く。
「これからこの10倍…… いやそれ以上騒がしくなるのかぁ」
 担任は頭をガシガシ掻きながら ちづるの脇に来たところでボソッと呟いた。
 ため息混じりのその言葉の意味も分からず ちづるも廊下に出た。
「ち~づ~る~」
 呼び掛けられて声の方に振り向くと 幼馴染の顔が見えた。
「お千ちゃんっ おはよー」
 妙に嬉しそうなその表情に「何か言い事あった?」と問い掛ける。
「知らないの?新しい先生って男なんだって。しかも若いんだってよっ」 
「ふ~ん」
 自分とは真逆なノリの悪いちづるの顔を お千はつまらなさそうに覗き込む。 
「なにぃ~ 興味湧かないのぉ?」
「お前とは違うんだよっ なぁ?ちづるっ」
 平助が女子二人の間に割って入って来ると お千は目を据わらせて彼を見る。
「なぁ~によ あんたなんかそのちづるに相手にされないクセにっ」
「なんだとぉっ
 てゆうかお前の名前"千姫(かずき)"だろ?なんで"お千(せん)"なんだよっ」
「あんたには関係無いでしょ! 呼ばれたくもないしっ」
「ちょっ ちょっとぉ ふたりとも止め…… 」
「おいっ ソコ!! 黙って並びなさい!!」
 ちづるの制止は間に合わず 体育館の入口に立っていた教師に注意されてしまった。


 ざわついた体育館内に 着任式を始める案内がスピーカーから流れてくる。
『学園長挨拶』と促されて 代表である近藤勇が壇上に姿を現した。
「おはよう!諸君っ 本日から我が薄桜学園の新しい仲間になりお世話になる 
 古文の先生と 教育実習生で来た先生をご紹介します!」
「近藤先生って話し方がいつも熱いよなぁ」
 平助の言葉にちづるが思わず微笑む。彼女は和服を着たこの学園長が好きだった。
 優しく気さくで偉ぶらず いつも生徒達の事を考えてくれる人物であったからだ。
 ちょっと天然な所や トレードマークの"髷ヘア"も可愛かった。
「ではっ先生方 どうぞこちらへ…… 」
「(なんだろう…… なんか胸がドキドキする…… )」
 ちづるは自分の異変に気を取られて 周りの変化に少し遅れて気付く。
 今まで静かながらも 上履きで床を擦ったり 至るところで小声が聞こえたりで
 何かしらの音がしていた体育館内が 一瞬にしてカサリともしない静寂に包まれた。
 二組の重なる足音以外には。 
「(痛っ)」
 ちづるの胸に痛みが走る。だがそれはいつもより強烈だった。
 瞬時その広い空間の静の世界は すぐに騒音の渦へと取って代わる。
 一斉に歓喜を含んだ悲鳴が館内に響き 次いで方々から思い思いの感情が露になる。
「えぇ!? っうそ マジで!?」 
「今日ガッコ休まないで良かった!」
「職員室で横顔チラ見したけど 正面からだと益々っ」
「俺 男だけど これはこれは…… 」
「キタコレっ 萌え散らかすっ」
 壇上に現れた新しい着任教師と教育実習生。その男性ふたりを見ての騒ぎだ。
 ちづるの担任が「やっぱり10倍できかなかった…… 」と独り言を零した後
「静かにっ 静かにしなさい!!」
 汗を滲ませながら マイクを使用しているのに大声を出していた。

 ちづるは何故か動けなかった。
 何度目かの自分の意志では無い勝手な涙が頬を伝う。
 壇上に立っているひとりの男性を見て。
 その人は美しい面立ちに苛ついた顔を隠さず 今にも怒鳴りそうな殺気を持って
 大騒ぎしている眼下に並ぶ生徒達を冷ややかに眺めている。
 不意に広い体育館のど真中にいる訳でもないちづると視線が合う。
「(あの黒のスーツ…… さっき校庭でぶつかったヒト? 痛っ)」
 堪らず制服の上着を鷲掴み 前のめりになるちづる。
 そしてその視界はゆっくりと廻り出した。
「(あ れ ? )」と思いながらも 自分の体が床に向かっていくのを止められず
 確かにぶつかると思ったのに痛みは感じなかった。
 寧ろ後から心地よい感覚すらしたが ちづるの意識はもう遠い所へ行っていた。



         ほら ちゃんと見つけられたでしょ? 
   


 誰かの声がする。
 不思議に思ったのは耳からではなく 自分の中から聞こえて来たから。
 それはちづるが夢で聞いたものと同じ声だった。







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